三重大元講師に有罪判決 医療機器納入めぐる汚職事件で津地裁
公開日時 2021/12/28 12:00
三重大学附属病院に日本光電の医療機器が納入されるよう便宜を図った見返りに、上司の元教授と共謀し、現金200万円を振り込ませたとして第三者供賄の罪に問われた同大学病院臨床麻酔部の元・講師 松成泰典被告の判決公判が12月28日、津地裁であり、柴田誠裁判長は懲役1年、執行猶予3年(求刑:懲役1年2月)を言い渡した。
柴田裁判長は判決理由で、「被告人がメーカー側に送ったメールは、メーカーが寄附金を対価にしようと決意するなかで決定的に重要な役割を果たした上、寄附金を提供することは、個人のみのためではなく、所属する臨床麻酔部の利益のために望ましいと認識していた」と指摘。「自分の役割の重要性を理解しつつ、決定的に重要な役割を果たしたと評価できる」として、「上司と共同して犯罪を実行したといわざるを得ない」と共謀共同正犯が成立すると認定した。
一方で、「寄附金を要求する上司の方針に異論を唱えたものの押し切られたことなどから、被告人の関与の程度は限定的であるうえ、寄附金は臨床麻酔部の立て直しに用いられると考えて犯行に及んでおり、私的な利益を得ようとしたものではない」などと指摘。「共同正犯としての責任は免れないものの、関与の程度は限定的で軽微なものであった」と判断した。
判決によると、被告は上司の元教授と共謀し、手術室などに設置されていた生体情報モニターの納入をめぐり、便宜を図った見返りに19年8月、メーカー側から元教授が代表を務める団体の口座に、現金200万円を振り込ませた。弁護側は、あくまでも大学の研究費としての寄附と認識しており、個人的な利益を得る意思はなかったなどとして、幇助にとどまっており、共同正犯は成立しないと主張していた。