22年度厚労省予算案 一般会計総額33兆5160億円 薬価は国費1553億円抑制 後発品の信頼確保1.4兆円
公開日時 2021/12/27 04:51
政府は12月24日、一般会計の総額107兆5964億円となる2022年度予算案を決定した。一般歳出に占める社会保障関係費の総額は前年度比4393億円増の36兆2735億円となった。一方、厚労省予算案は前年度比1.1%増の一般会計33兆5160億円。うち社会保障関係費は33兆1833億円で、医療は12兆1903億円(前年度比0.9%増)となる。薬価を1.35%、材料価格を0.02%引き下げる一方で、診療報酬は0.43%引き上げる。重点事項では、新型コロナウイルス感染症対策として、ワクチン・治療薬の研究開発の推進として、補正8817億円、当初15億円を計上した。後発品の供給不安への対応として、信頼確保のための体制・取組強化に1.4兆円を新規計上した。
厚労省予算案のうち、新型コロナワクチン・治療薬関係では、ワクチン開発・生産体制強化戦略に基づく研究開発の推進として4.4億円(一部新規)、アジア地域における臨床試験・治験ネットワークの充実および薬事規制調和の推進として8.4億円、臨床研究・治験ネットワークの充実として6.1億円を計上した。一方でコロナ以外を含む研究開発体制の強化では医薬品プロジェクトとして182億円を計上。新規モダリティ医薬品の開発に資する研究を推進する。このほか、再生・細胞医療・遺伝子治療プロジェクトの総額を49億円とし、iPS細胞や体性幹細胞等を用いた再生・細胞医療、遺伝子治療の実用化を目指す。
◎薬価は国費1553億円抑制(▲1.35%)、材料価格は17億円(▲0.02%)
22年4月実施の薬価・診療報酬改定に伴う医療費国庫負担は11兆8076億円で前年度比469億円増となる。診療報酬本体の改定率はプラス0.43%。各科改定率は医科がプラス0.26%、歯科がプラス0.29%、調剤がプラス0.08%。一方でリフィル処方せんの導入(▲0.10%)と小児医療の加算措置の期限到来(▲0.10%)をあわせて0.20%の抑制が図られる。薬価は▲1.35%となり、国費ベースで1553億円抑制する。うち、不妊治療の保険適⽤(消費税増収分を活⽤)は+0.09%(国費+45億円)。材料価格は▲0.02%で、国費ベースで17億円抑制する。
看護職員の処遇改善については、10月以降の収入を3%程度(月額平均1万2000円相当)を引き上げるとし、そのための所要額として公費約144億円とした。一方で不妊治療の保険適用については、所要額(公費)を本体120億円(国分100億円)、薬価54億円(国分45億円)を計上した。
◎後発品の信頼確保 製造所に対するGMP調査、承認申請資料の適合性調査を強化
医薬品関係では、後発品の信頼確保のための体制・取組強化を新規項目として1.4億円計上。後発品の品質等に対する信頼回復が急務となっていることから、医薬品医療機器総合機構の体制整備を行うことで、製造所に対するGMP調査、承認申請資料の適合性調査を強化する。さらに、MID-NETを活用した安全性確認を実施する。
このほか小児用医薬品の安全対策の推進として1.6億円を計上。小児医療情報収集システムの改修を行い、小児医薬品による副作用の発現状況等の情報の収集・解析・評価等を効率的に実施することにより、小児用医薬品の安全対策のさらなる向上を目指すとともに、小児医薬品の開発にも貢献する。