慶応大学医学部・大学病院 Apple Watchを利用した臨床研究「Apple Watch Heart Study」をスタート
公開日時 2021/02/02 04:52
慶応義塾大学医学部と慶応義塾大学病院は2月1日、Apple Watchを利用した臨床研究「Apple Watch Heart Study」を開始したと発表した。Apple Watchと心電図アプリケーションが測定する心電図や脈拍などの生体データと、研究用iPhoneアプリケーションを用いて収集する睡眠、飲酒、ストレス等に関するヘルスケアデータベースを構築し、睡眠中・安静時の脈拍と生活習慣や症状との関係を解析する。データを解析することで、どのような時に心電図を記録すれば心臓の異常を検出できるかを明らかにし、家庭での病気の早期発見につなげることを目指す。
臨床研究Apple Watch Heart Studyの研究責任者は陣崎雅弘副病院長が、実務責任者は循環器内科の木村雄弘特任講師が務める。臨床研究は対象者の異なる2つの研究から構成される。「Apple Watch Heart Study慶應義塾版」は、慶応義塾大学病院に通院する心房細動患者に協力を求め、臨床現場で使用している心電図検査(2週間Holter心電図、携帯型心電図)とApple Watchと、心電図アプリケーションから得られる脈拍データおよび心電図との比較を行う。また、ヘルスケアデータを睡眠、 飲酒、ストレスとの関係についてAI(人工知能)で解析し、どのような時に不整脈になりやすいかを推定するアルゴリズムを構築する。
一方、全国のApple Watchユーザーを対象とした「Apple Watch Heart Study」は、睡眠中および可能な範囲で日中安静時のApple Watch装着と、動悸などの症状を記録(7日間)し、その上で、Apple Watchで収集するデータを活用し、日本におけるヘルスケアビッグデータを構築、データを解析する。さらに、慶應義塾版で開発するアルゴリズムを臨床研究参加者のデータに適用し、生活スタイルや申告された症状のデータに焦点を置いた解析を行うことで、適切な精度となるよう評価・改修を行う。
なお、臨床研究に登録できる対象者は、iPhone(iOS 14.0以降)および、Apple Watch(watchOS 7.0以降)を使用でき、①研究アプリケーション「Heart Study AW」をApp Storeからダウンロードできる、②Apple Watchを睡眠中7日間装着し質問票に回答できる、③日本語を理解できる20歳以上の日本人、④本研究の参加に同意できる-を要件にあげた。
◎「医学的な網羅的解析は類を見ない試み」
慶応大学病院は今回の臨床研究について、「全国を対象としたApple Watchヘルスケアビッグデータの構築と、医学的な網羅的解析は類を見ない試み」と指摘。「今後、家庭でのデジタルヘルスケアと適切な医療との連携に貢献することが期待される」と強調している。なお、今回の臨床研究は慶應義塾大学病院が行うもので、Apple が共同研究等で関与するものではないとしている。