富士フイルム J-TECの株式を帝人に譲渡 整形分野の既存製品との相乗効果に期待も
公開日時 2021/02/01 04:50
富士フイルムは1月29日、連結子会社のジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(J-TEC)の普通株式を帝人に譲渡すると発表した。同社は、J-TECの成長戦略をさらに加速させるためには、「経営方針や事業戦略に共通性があり、整形分野における既存製品との相乗効果が見込まれる帝人が最適なパートナーである」と判断したと説明している。帝人が実施する同社株式の公開買付けが成立した場合、J-TECは富士フイルムの連結子会社から外れることになる。
J-TECは1999年2月にニデックや富山化学など複数社の共同出資で、ティッシュエンジニアリング技術をベースに再生医療を事業領域とする企業として設立された。2010年10月に筆頭株主がニデックから富士フイルムへ異動。2019年9月30日に富士フイルムの100%子会社となった。現在の事業内容は、①再生医療製品事業、②再生医療受託事業、③研究開発支援事業-など。
富士フイルムは、この間、ヘルスケアを重点事業分野で成長戦略を推進してきた。特にバイオ医療領域では、積極的な設備投資を行っており、バイオ医薬品の開発・製造受託事業や、新薬の研究開発に必要なiPS 細胞や培地を提供する創薬支援などの再生医療の分野で事業拡大を進めてきた。さらに近年は、細胞代謝や遺伝子発現の解析などのバイオインフォマティクス(生命情報科学)、遺伝子編集技術などのセルエンジニアリング、細胞製造の自動化技術、細胞を用いた新たな創薬支援技術などの研究に取り組んでいる。
同社はJ-TECの株式譲渡について、「バイオ医療領域の事業ポートフォリオの最適化」を図る中で決めたことを明らかにした。また、J-TECの今後の成長戦略については、経営方針や事業戦略に共通性のある帝人が最適なパートナーになり得るとし、さらに帝人の強みである整形領域で相乗効果が見込まれることなどをあげた。