ワークスモバイルジャパン LINEのビジネス版 ラインワークスの医療・介護での活用事例を紹介
公開日時 2020/08/19 04:50
ワークスモバイルジャパン株式会社は8月6日、薬局や介護事業所の経営者・管理者をトークゲストとして招き、オンライントークライブ「LINE WORKSで始める! 地域包括ケア時代の情報連携」を開催した。働き方改革の推進で業務効率化や生産性向上が求められ、さらには昨今の新型コロナウイルス禍でリモートワークの推進が図られている。こうしたなか、ビジネス版のLINEといえるLINE WORKS(ラインワークス)が医療・介護現場で実際にどのように活用され、業務改善が図られているのかについて、各経営者が実例をもとに紹介した。
◎薬剤情報をアップして検索 DB的な活用も可能
ラインワークスは、LINEの関連会社であるワークスモバイルジャパンが運営する企業向けのクラウド型ビジネスチャットツール。LINEの「トーク」を踏襲したメッセージのやりとりに加え、個人やグループ、組織のスケジュール管理、ファイル共有、メール、アドレス帳、アンケートなど多彩な機能を有する。
大阪府茨木市でアクア薬局2店舗を運営する株式会社GIFTEDでは以前、LINEを使ってスタッフ間のコミュニケーションを図っていたが、「プライベートとの混同を避けたい」との理由から2年ほど前にラインワークスを導入。薬剤師、事務スタッフ、在宅訪問スタッフなどグループごとに活用している。
同社代表取締役の加藤信幸氏は、「在宅のグループは、往診するクリニックの医師や訪問看護ステーションの看護師らと連携し、なかなか連絡がとれなかった医師に疾患名などを気軽に尋ねられるようになり、疑義照会に対してもすぐに連絡してくれるようになった。また、毎週訪問する訪問看護師に患者さんの直近の状況を確認できる。チームで迅速に情報を共有できるのはスタッフだけでなく、患者にとっても大きな安心感につながる」と実用例およびメリットを述べた。
また、新型コロナウイルスの感染拡大で製薬会社が開催する勉強会や研修会が大幅に減少したものの、「製品情報をアップロードして情報共有するようにしている。キーワード検索ができるので、後追いで薬の情報にアクセスすることも可能」とデータベース的な活用法を紹介した。
最後に新型コロナの影響としては、薬局に来店する患者は若干減少する一方、病院のコロナ対応で退院する患者が増えたため訪問患者は普段より増加したという。「こうした緊急的な対応や休みを取らざるを得ないスタッフとの連絡等で、ラインワークスの使用頻度は増えた」と加藤氏は述べ、有事の際のコミュニケーションツールとしても有用であることを示した。
◎迅速かつ的確な情報共有は医療・介護の質に直結
宮城県石巻市で訪問看護、訪問介護、居宅介護支援などを展開する医療法人社団健育会ひまわり在宅サポートグループも2年前からスタッフ間でラインワークスを活用している。在宅部長の若林陽盛氏は、「訪問事業は日中1人での行動がメインで、メモや電話で連絡をとっているときは利用者さんに何か変化が起きたときになかなかその情報を素早く的確に伝えらない。その辺りで職員満足度調査でもスタッフの精神的な不安が高く出るなど、情報伝達・共有において何らかの改善が必要だった」と、導入のきっかけについて述べた。LINEと同じ感覚で使えることも決め手になったという。
在宅医療の現場では1人の利用者に対して訪問看護師・リハビリスタッフ、ケアマネジャーら複数のスタッフで対応しており、迅速でわかりやすい情報共有は訪問看護・介護の質に直結する。若林氏は「なかなか言葉では上手く説明できないところを、画像を撮って送ることで状況を把握してもらうなど、情報共有のレベルは格段に上がった」と評価。また、その原動力として事業所に言われてから使うという「使わされる感」が一切なく、スタッフ自らがラインワークスによるコミュニケーションにメリットを感じていることが大きいと分析している。
事業所外との連携では、石巻健育会病院の地域連携室と同事業所のケアマネジャー間で入退院に関する情報共有に活用している。「ケアマネジャーも外出が多く、病院から退院患者に関する連絡があっても今までは事業所に戻ってからの対応だった。それが外からでも詳細を確認できるようになり、退院相談・支援等へのかかわりが早くなった」(若林氏)。同事業所は昨年、対前年度で経常利益900万円ほど増加したが、大きな要因はほぼリアルタイムの情報共有により、スタッフの生産性が上がったからだという。
なお、ラインワークスはLINEとのやりとりも可能となっており、その機能を用いて同事業所では利用者とのコミュニケーションにも力を入れている。国内のユーザー数8400万人といわれるLINEの強みを生かした取り組みといえる。