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安倍首相 G7サミットで新型コロナ治療薬・ワクチンの途上国使用で「特許権プール」提案へ 

公開日時 2020/05/26 04:51
安倍晋三首相は5月25日の記者会見で、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う「緊急事態宣言」について、最後まで残った北海道と首都圏(東京、千葉、埼玉、神奈川)も解除すると正式に発表した。安倍首相は宣言解除に伴い、「新しいやり方で日常の社会、経済活動を取り戻す」と強調。ただ、第2波の可能性に触れ、検査体制の強化など医療提供体制の確保に「2兆円を超える予算を積み増す」と表明した。また、「世界の感染症対策をリードしなければならない」と強調し、6月に開催予定の先進7カ国首脳会議(G7サミット)で、新型コロナの治療薬とワクチンを途上国で使用できる「特許権プール」の創設を提案すると表明した。

北海道・首都圏の緊急事態宣言解除 最初の宣言発令から7週間弱

4月7日に7都府県に発令された緊急事態宣言は、この日の宣言解除により7週間ぶりに全面解除された。解除あたっては、①感染の状況、②医療提供体制、監視体制-の各指標を基に判定した。安倍首相は会見で、「世界的にも、極めて厳しいレベルで定めた解除基準を全国的にクリアしたと判断した」と述べた。会見後に開かれた政府の新型コロナウイルス感染症対策本部で正式に解除が決まった。

◎「新たな日常に向かって強力な三本の矢を放ち、日本経済を立て直す」

「本日、緊急事態宣言の全面解除後、次なるステージへ国民の皆さんと力強い一歩を踏み出す」-。安倍首相はこう表明した。「目指すは、新たな日常を創り上げること。ここから先は発想を変えていこう」と国民に呼びかけた。3月に感染拡大してからは、外出自粛や「3蜜」の回避、さらにはヒト同士の接触を「最低7割、極力8割」に抑えるなどの行動制限が施策の柱だった。

この日の会見で安倍首相は、「経済再生こそが安倍政権の一丁目一番地。コロナの時代の新たな日常に向かって強力な三本の矢を放ち、日本経済を立て直す」と意気込んだ。ただ「2度目の緊急事態宣言発出の可能性もある」とも述べ、その際は「外出自粛のような社会経済活動を制限するようなやり方はできる限り避けたい」とし、慎重な対応が求められるとした。第2波への備えとしては、「接触確認アプリ」を導入する考えを明らかにした。アプリは、スマホの通信機能で陽性が判明した人と一定時間近くにいたことを自動的に通知することができる。このため早期対応が可能なほか、感染者を追跡することで、「ロックダウンを避ける大きな効果が期待できる」という。「個人情報を全く秘匿せず、安心して使えるアプリを6月中旬にも導入する」と述べた。

◎検査機能の拡大、自治体と連携して医療提供体制の充実に取り組む

さらに安倍首相は、「抗原検査の使用が始まった。PCRについても民間検査機関への支援に加え、大学にある検査機器を活用させていただくなど、検査機能の拡大を進める」と強調。全国の医師会の協力を得てPCRセンターを100か所以上設置したことを示しながら、「2兆円を超える予算を積み増し、自治体と連携しながら、医療提供体制の充実に取り組む」とした。

◎感染症対策でリーダーシップをアピール

「世界経済の復活なくして日本経済の力強い再生もない」-。安倍首相は強調する。「国内で感染が落ち着いても、世界的な感染の拡大に歯止めがかからない限り真の収束は無い」という。その上で、先進7カ国首脳会議(G7サミット)においては、感染症対策のリーダーシップを発揮するとし、治療薬やワクチンについて、途上国への支援を視野に入れた活動に注力する姿勢を表明した。
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