富士フィルム富山化学 新型コロナで「アビガン錠」のフェーズ3開始 増産準備も
公開日時 2020/04/01 04:52
富士フィルム富山化学は3月31日、新型コロナウイルス感染症の患者を対象に、アビガン(一般名:ファビピラビル)の国内臨床第3相試験を開始したと発表した。約100例を登録する計画で、20年6月末の試験の終了を目標に据える。国内外からの需要が高まるなかで、すでに同社の富山第一工場でアビガン錠の増産をスタートさせた。「国内外のパートナーとの連携体制を構築し、増産を加速させていく」としている。
アビガン錠は、新型インフルエンザ治療薬として承認を取得している。ウイルスのRNAの複製に必要なRNAポリメラーゼ(酵素)の働きを選択的に阻害することで、ウイルスの増殖を抑えることで、作用を発揮する。このため、RNAウイルスである新型コロナウイルスに対しても効果が期待されており、今回の臨床第3相試験の実施に至った。
◎主要評価項目-投与から症状軽快後1回目のPCR検査陰性までの期間
試験は、新型コロナウイルス陽性で、非重篤な肺炎症状を引き起こしている患者に対し、アビガン投与後の治療効果が標準治療に比べて上回ることを確認することを目的として実施する。
主要評価項目には、「症状軽快後と48時間後の2回のPCR検査で陰性が確認された患者を対象とし、投与から症状軽快後1回目のPCR検査で陰性となるまでの期間」を据えた。なお、症状軽快後とは、体温が37.4度以下、酸素飽和度96%以上、胸部画像所見の最悪時からの改善を指す。目標とする申請時期は明らかにしていないが、日本政府からの要請もあり、「データ解析等を経てできるだけ速やかに申請したい」との意向だ。