公明党 後期高齢者2割負担に慎重論 20年度通常国会への医療関連法案提出を牽制
公開日時 2019/12/03 04:51
公明党の石田祝稔政務調査会長は12月2日、国会内で開催した全世代型社会保障推進本部後のブリーフで、政府の全世代型社会保障検討会議が改革メニューに掲げる75歳以上の後期高齢者の窓口負担2割引き上げについて、党として慎重論を唱える意見が多いことを明らかにした。また受診時定額負担についても「現在の7割給付を外れる」とし、「やるべきとの議論はなかった」と述べた。公明党はこの日で年金、医療、介護、雇用に関する議論を一巡させた。石田政務調査会長は推進本部の取りまとめについて、コアメンバーに一任したことを明らかにし、「文案について整理したものを政調全体会議に諮りたい」と述べた。
石田政務調査会長はブリーフで、焦点の後期高齢者の窓口2割負担について、「賛成する人はいなかった」と説明。現行ルールで窓口負担3割となる一定所得以上の高齢者が全体の1割を占める一方で、残り9割の高齢者が窓口で1割負担しながらも、現役世代に比べて受診回数が多いことをあげ、結果的に高齢者が窓口で支払う医療費は現役の負担と遜色ないのではないかとの問題意識を示した。なお、石田政務調査会長はこの問題について、厚労省に対しデータ提出を求めてきたが、この日まで資料提出が無かったことも明らかにしている。
◎受診時定額負担 「やるべきとの議論はなかった」
受診時定額負担にも触れ、「いわゆるワンコインを想定しているが、いったい幾らを想定しているのか分からない」と指摘。国会の審議過程で合意した7割給付を超えないとの考え方に反するとし、党内からは「ワンコインについてもやるべきとの議論はなかった」と強調した。
◎「明日から窓口負担2割ということにはならない」石田政務調査会長
公明党が高齢者の窓口負担引き上げに慎重姿勢を示したことで、今後の自民・公明の与党調整にも影響がでそうだ。石田政務調査会長はこの日のブリーフで、「最後にどんな議論がでるのか分からない」と前置きしながら、「2020年の通常国会に法案を提出するとかいう話ではない」と政府側の議論の推移を牽制した。その上で、「我々は2025年、2040年を見据えている。社会保障に関しては、今のままで良いのかということの問題意識を持っている。これがたちまち明日から窓口負担を2割とするということにはならない」と表明。党内での意見集約と同時に、与党間の調整や政府の全世代型社会保障検討会議の行方に注力する考えを強調した。