富士フイルム富山化学 脳卒中後の運動機能改善薬でフェーズ2
公開日時 2019/06/07 03:50
富士フイルム富山化学は6月6日、脳卒中により片側上肢麻痺の患者を対象に「T-817MA」(一般名:edonerpic maleate)の国内フェーズ2を開始したと発表した。回復期リハビリテーションを実施している患者における肩から指先までの運動機能の改善を評価する。同社は、現在の治療の主体であるリハビリテーションの効果を、より高める薬剤と位置づける。2022~23年度の承認申請を目指す。
脳卒中後の運動機能回復のメカニズムとして、神経伝達物質であるAMPA受容体がシナプスの膜上で増えることが知られている。「T-817MA」については、外部からの刺激に応じてAMPA受容体のシナプス移行を促す作用があることをマウス実験で確認。疾患モデルのサルの実験では、リハビリテーションと併用することで、指で餌をつまむという運動機能の回復がみられたという。
今回のフェーズ2では、初めて脳卒中(くも膜下出血を除く)を発症し、回復期リハビリテーションを実施する片側上肢麻痺の患者を対象に実施する。目標症例数は45例で10施設程度で行う計画。有効性については運動機能を評価する指標とともに画像検査などの客観的指標を用いて、「T-817MA」のリハビリテーション促進効果を確認する。
「T-817MA」は、富士フイルム富山化学が創製。認知症を対象にしたフェーズ2が終了している。