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ICTネットで認知症治療支援 家族と医療者が常時情報共有 東大病院、エーザイ、ココカラファインが試行

公開日時 2016/06/20 03:52
東京大学医学部附属病院神経内科の辻省次教授らとエーザイと調剤薬局グループのココカラファインは6月17日、ICTツールを用いて、認知症患者・家族の日常の様子や病状などを医療者が情報共有することで治療に役立てるパイロットスタディを行うと発表した。クラウド上に開設する電子連絡帳を通じ、患者・家族と医療者が検査結果や日常の様子などを常時共有、双方向のやりとりもできるようにする。それにより、これまで難しかった患者宅での患者の体調、病状を医療者側が知ることができ、治療や介護等の課題の早期把握につなげることで、個々の患者に最適な治療や介護の提供を目指す。

認知症治療は個々人ごとに対応を調整する必要があるため、患者・家族の日常を可能な限り把握することが非常に重要とされる。しかし、外来受診だけでは一定の間隔が空き、そのような対応をとることが難しかった。そこでお互いがネットワークで繋がることができるICTコミュニケーションシステムを構築し、認知症・軽度認知機能障害の患者・家族と医療者が受診時間外の状況でも互いに情報共有できるようにするにした。このパイロットスタディでは参加者50人を募り、1年半検証し、実用化を図る

「わすれなびと」と名付けられたこのシステムでは、患者・家族に、タブレット型端末を貸与し、▽東大病院で実施された画像診断・認知機能検査・血液検査などの結果の閲覧▽同院の主治医や薬剤師にメッセージを送ることにより、外来時間外での対話▽一定の頻度で表示されるアンケートに答えることによる、日常の様子の記録--をできるようにする。これを医療者も共有し、治療に役立てる。希望に応じココカラファイングループの薬剤師が在宅に訪問し、服薬指導した結果もクラウドに記録され、治療に活かす。

エーザイは3月に発表した経営計画で、「認知症ソリューション本部」を新設し、認知症の課題解決支援を事業化すると表明。早期診断システムや、多職種連携を円滑に行うための地域ネットワークシステム、ICチップ製剤による服薬支援、ウエアラブル端末による見守りツールなど治療薬以外のソリューションサービスを他産業と組んで開発するとしていた。
 
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