【World Topics】妊娠を1−2年待とう ジカ熱対策で専門家がアドバイス
公開日時 2016/04/22 03:50
感染拡大の抑止に有効な手立てが見出せないジカ熱。 オリンピックを控えたブラジルでは、軍が各家庭を戸別訪問して蚊の発生源となりそうな場所をなくすべくローラー作戦を展開している。(医療ジャーナリスト 西村由美子)
大人が感染しても大した症状が出ないジカ熱だが、深刻な懸念は妊娠中のジカウィルス感染と胎児の小頭症の関連が示唆されていることだ。これについて最近、各国の研究者・臨床医から「流行地の若い女性は妊娠を1−2年延期してほしい」とのアドバイスが相次いで出され、メディアで報じられている。
「戸別訪問をしているブラジル軍はついでにコンドームも配布すべきだ」と主張するのはDr. William Schaffner (Vandebilt University Medical School)である。だが、「カソリックの国だから受け入れられないだろう」と悲観的でもある。Dr. Schaffnerをはじめ米国のジカ熱の臨床研究者は、流行地では適齢期の女性が妊娠を1−2年控えるのがもっとも有効な対策であると主張する。
1年妊娠を控えれば、流行地では、その間に本人が蚊に刺されて免疫ができる確率がきわめて高いから、その後は妊娠しても小頭症の心配が減り、安心できる確率がずっと高くなる。2年妊娠を控えられれば安全率ははるかに高くなる。なぜなら2年以内には現在開発中の予防ワクチンが完成するというのが、すでに専門家の間の共通認識になっているからだ。
専門家の助言をえて、ラテンアメリカ5カ国とカリブ諸島では、 妊娠を延期するよう、国をあげて啓発を開始した。