Donald Trump候補 医薬品逆輸入を提唱
公開日時 2016/03/16 03:50
米共和党大統領候補指名争いで破竹の進撃を続けている不動産王 Donald Trump氏は3月2日、同陣営のヘルスケア政策の概要を発表した。米議会情報誌「STAT」や医薬専門誌「Fierce Pharma」などが報じた。
同氏の政策でも近年米国で大きな社会問題となり、当該製薬企業への批判が高まっている、高価なC型肝炎治療薬や抗がん剤については、安価な製品の逆輸入を促進することを提言している。逆輸入の発想は目新しいものではなく、いままでにも、2008年には共和党のJohn McCain上院議員が大統領選に立候補した際、同じ提言を行っていた。
2014年には、McCain議員とAmy Klobuchar上院議員と共同で、カナダからの逆輸入を認める法案の立案を行った。昨年にはこの改定案をまとめている。このように逆輸入案はしばしば提案されているが、製薬企業のロビーイストから激しい抵抗に遭い挫折を余儀なくされているようだ。
逆輸入の提案は共和党ばかりでなく、民主党のHillary Clinton議員やBernie Sanders議員らも高薬価是正の提案のなかに組み入れている。
いわゆる皆保険を目指すオバマケアに対しては、Trump氏は、他の共和党議員と同様にその撤回を求めている。Clinton議員やSanders議員らによる、メディケア(公的高齢者保険)における政府の薬剤費負担を軽減させるために、政府に製薬企業との価格交渉権を持たせる提言については、Trump氏は従来この主張を支持する発言をしていた。しかし、今回の発表ではこれについては特に言及していない。
同氏は、「議会は、特定の利害関係を断ち切る勇気を持つ必要がある。そして、アメリカのために正しいことを行わなければならない」と製薬企業に厳しく対応する必要性を示唆した。さらに、「医薬品企業は民間セクターにあるが、医薬品企業は公共サービスを提供している。消費者へ海外から輸入した安全かつ信頼できる医薬品へのアクセスを認めることが消費者へのオプションを増やす」と逆輸入実現への意欲を示した。