ジェネンテック社とソーシャルメディア運営企業 患者情報で提携
公開日時 2014/04/16 03:50
米ジェネンテック社とソーシャルメディア運営企業のPatientLikeMe(PML)社は、ジェネンテック社が患者の病歴や治療経験の情報にアクセスできることを似ようとする提携関係を結んだ。PML社(本社:マサチューセッツ州ケンブリッジ)が4月7日公表した。
この提携関係により、ジェネンテック社は、PML社の持つ患者データにアクセスができるが、先ず、がん患者のデータから開始するという。患者個人は特定されない。PML社が製薬企業とこの種の提携をするのはこれが初めて。金銭的条件は非公開。
PML社のネットワークには25万人の会員がおり、がん患者は6000人以上含まれている。PML社は2004年に設立され、当初は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、多発性硬化症(MS)、および線維筋痛症など神経変性疾患に特化していたが、その後他疾患に領域を拡大してきた。
PML社は、ジェネンテック社がネットワークを活用することで、患者情報の観察から横断的研究や広範な発見を可能にさせると話している。また、カスタマイズした研究サービスや能力を持たせ、新規の医療エビデンスや健康に関わる測定法・基準などの開発も促すことになるとしている。
さらに今回の合意では、ジェネンテック社はPML社の患者に臨床試験の参加者募集などを知らせるツールにもアクセスが可能になる。これにより、ジェネンテック社は、がん患者のリクルートや患者数を増加させたいときに役立つ。
PML社は、オンライン上で患者報告アウトカム(PROs)開発を目的とした情報交換の場を設けている。これは2013年にRobert Wood Johnson財団の援助で発足した。
PROsは、臨床試験の被験者など患者からの直接的な報告に基づいて評価される。その内容は、医師による解釈や修正は入っていない患者の実際の身体の状態である。これをがん患者について収集することは難しい面があるが、それが保険支払者に価値を示すことに役立つことや法規制上の目的で使用できる可能性があるため、がん患者でも検討されている。
米食品医薬品局(FDA)は、2009年12月のガイダンスで、ラベルにおける適応症の裏付けのためにPROsの作成や検証、使用を推奨している。それを具体化したといえるのが、Incyte Corp社の骨髄線維症治療薬Jakafi(ruxolitinib)で、同剤はPROのデータを反映した適応をもって承認された数少ない抗がん剤のひとつである。
しかし、FDAは現在もラベル上での適応のためにPROのデータをどのように使用するかを検討中だ。このようなPROデータ活用の動きを背景に、PML社のBen Haywood共同創設者は、「我々のゴールは、ヘルスケア分野の関係者全員が一緒になって新たな方法で患者に協力することである」と話している。
The Pink Sheet Daily 4月8日号