米HCV感染ガイダンス改定 Sovaldiが標準治療に
公開日時 2014/02/19 03:50
米国肝臓疾患研究学会(The American Association for the Study of Liver Diseases:AASLD)および米国感染症学会(The Infectious Diseases Society of America:IDSA)は、国際抗菌協会USA(The International Antiviral Society-USA)と共同で、C型肝炎治療ガイダンスを改定し、1月29日付でWeb上で公表した。同ガイダンス改訂版では、Gilead SciencesのSovaldi(ソホスブビル) がC型肝炎の標準治療薬として推奨された。
同ガイダンスの策定に携わったアラバマ大学のMichael Saag博士(同GL作成委員会共同議長)は、「GL改訂版が作成されたことで、専門医は試験データを見て、FDA(食品医薬品局)が承認した添付文書に欠如している部分を裏付けるエビデンスを感じ取ることができる」と話し、同剤の適応となっていないウイルス型への適応外使用への使用の可能性について示唆した。同博士は、「FDAはフェーズIIIまで完了した薬剤を承認するが、このような試験では、あらゆる(使用が)可能な併用や患者集団について試験はできていない」ことに言及した。
同じガイダンス作成員会のもうひとりの共同議長であるベイラー大学のGray Davis博士も、FDAに申請時に提出されたデータは必ずしも承認された適応もしくは添付文書に含まれているわけでないとし、同委員会が適応外使用の推奨する可能性に言及した。
ガイダンス改訂版は、ソホスブビルについて、インターフェロン(IFN)に不忍容なジェノタイプ1型患者に対して、Janssen PharmaceuticalsのOlysio(シメプレビル)およびリバビリンとの併用を適応外使用として推奨している。さらに、同剤はジェノタイプ1型から4型についてのみ承認されているが、1型から6型患者に対してもソホスブビルを推奨している。
FDAは、2013年12月にソホスブビルについて、ジェノタイプ1型から4型のC型肝炎治療薬として承認した。ジェノタイプ1型と4型については、リバビリンおよびIFNとの併用を標準治療として推奨、ジェノタイプ2型と3型については、リバビリンとの併用を推奨、この患者集団に対して初めてすべての併用薬剤において経口投与となった。
ガイダンス作成委員会の共同議長は、ガイダンスはウェッブのみで、プリント版はなく、状況に応じ、随時見直す、「生きているドキュメント」だと指摘している。
シメプレビルは、2013年1月ジェノタイプ1型の患者に対して、ペグIFNアルファおよびリバビリンとの併用で承認され、2011年に承認された、Vertex PharmaceuticalsのIncivek(テラプレビル)やメルクのVictrelis(ボセプレビル)よりも利便性、安全性、有効性で勝っている。
ヤンセンは、AASLDおよびIDSAがシメプレビルをジェノタイプ1型患者の治療オプションとして推奨したことについて、同剤の有用性を支持したものととらえ、期待感を示している。一方、テラプレビルとボセプレビルは、ガイダンスのチャートから脱落した。
ガイダンスは、「HCV治療分野では、2011年に効果の高いHCVプロテアーゼ阻害剤が導入されて以来、進化が顕著である」と指摘したうえで、「今後数年内に多数の異なった作用機序の新薬の登場が予想されるなど変化のスピードが速いことが期待される」と述べている。今後HCV治療薬の進展が注目されている。
The Pink Sheet 2月3日号