田辺三菱 抗リウマチ薬レミケード 寛解維持後の休薬の可能性も
公開日時 2013/07/09 05:02
田辺三菱製薬はこのほど、国内初の生物学的製剤レミケード(一般名:インフリキシマブ)が関節リウマチの適応を取得して10年たったことを機に、「関節リウマチ治療の未来予想図」と題するメディアセミナーを開いた。同社営業本部レミケード部長の北山克明氏は、関節リウマチの治療目標がレミケードをはじめとする生物学製剤の登場で、それまでの疼痛緩和や症状軽減から寛解とその維持に移り、近年は寛解維持後の休薬も視野に入るようになってきたと説明。同社は今後、寛解維持後の休薬に向けても取り組んでいく姿勢を見せた。
◎産業医科大・田中教授 レミケード休薬には深い寛解の達成必要
この日のセミナーでは産業医科大学医学部第一内科の田中良哉教授が、レミケードの最新の治療成績や将来展望について講演した。田中教授は自施設のデータから、レミケードによる1年間の治療で関節破壊の進行抑制が約8割の患者に見られ、中には年単位での休薬が可能な患者が出始めていることを報告した。
具体的には、レミケードによって関節リウマチの低活動性が半年以上維持できている患者114人を対象に多施設共同研究RRRstudyを行い、休薬したうえで経過観察したところ、低活動性が維持できた患者は1年後が半数程度(56人)、3年後でも3分の1弱(33人)だった。また、疾患活動性が再燃した患者にレミケードを再投与したところ、数例を除いて低活動性にもっていくことができた。
田中教授は「レミケードの休薬維持には深い寛解に達成しておくことが必要」と指摘したほか、現在の治療目標はあくまでも寛解とその維持であり、「休薬を目指す段階にはない」との認識を示し、今後さらなる検証が必要との見方を示した。ただ、レミケードが登場して以降、関節リウマチの治療は大きく前進し、複数の生物学的製剤が登場してきたことで、患者のニーズにより応え得る治療へと前進していることについては評価した。
◎患者の6割強 「可能であれば生物学的製剤を中止したい」
なお、田辺三菱が最近実施した患者調査によると、約7割の患者が効果を実感できることなどを理由に生物学的製剤による治療に満足しているものの、6割強の患者が「可能であれば生物学的製剤を中止したい」と考えていることがわかった。この調査では中止したい理由を直接聞いていないが、別の設問で、▽治療費用▽治療の手間▽副作用――に不満を持つ人が多いことが確認されており、これらが患者の考える中止理由の主なものと思われる。同調査は3月18日~4月19日に実施。サンプル数は生物学的製剤の治療を受けている関節リウマチ患者239人。