統合失調症急性期に用いるジプレキサ筋注用 12月3日新発売 非定型抗精神病薬で国内初
公開日時 2012/11/29 04:02
日本イーライリリーはこのほど、統合失調症の急性期治療に用いる速効性筋注用製剤「ジプレキサ筋注用10mg」(一般名:オランザピン)を12月3日に新発売すると発表した。効能・効果は「統合失調症における精神運動興奮」。用法・用量は通常、成人に1回10mgを筋肉注射する。薬価は10mg1瓶2067円。
統合失調症の急性期には危険な行動につながるような過度の興奮、焦燥、激越などの精神症状が認められることがあり、これらを速やかに鎮静させるために、経口投与が困難な場合には注射剤が使用される。日本ではこれまで、急性期治療に用いる注射剤は定型抗精神病薬しかなかったが、今回新発売するジプレキサ筋注用は非定型抗精神病薬として国内で初めての急性期治療に使える注射剤となる。統合失調症治療ガイドラインでは、急性期治療の薬物療法において、定型抗精神病薬より錐体外路症状が少ない非定型抗精神病薬を第一選択薬に位置づけている。
統合失調症は生涯有病率が約1%といわれる。脳神経系に生じる慢性の病気で、幻覚・妄想を特徴とする「陽性症状」、気力がおち人との交流などが難しくなる「陰性症状」、集中力や学習に困難を生じる「認知症状」がある。統合失調症に特有の症状がはっきり現れるようになる急性期には、幻覚(幻聴)や妄想により思考が混乱し、リスクが高い危険な行動につながる可能性がある。