薬食審・第二部会 新薬2剤を審議 承認を了承
公開日時 2012/03/01 04:02
厚生労働省の薬食審医薬品第二部会は2月29日、新薬2剤を審議し、いずれも承認を了承した。この中には初のALK融合遺伝子が陽性を示す非小細胞肺がんに対する新規分子標的薬があり、両剤とも希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)。2新薬は順調なら、3月に正式承認となる。
【審議品目】
▽ザーコリカプセル200mg、同250mg(一般名:クリゾチニブ、ファイザー):「ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発非小細胞肺がん」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。オーファン。再審査期間10年。海外では米国のみ承認(11年8月、迅速承認)。
ALK融合遺伝子陽性患者は全体の1割前後とみられ、国内では数千人程度という。ALK融合タンパクのチロシンキナーゼ活性を抑制し、シグナル伝達を阻害することで腫瘍の増殖を抑制する世界最初の「ALK阻害剤」。患者に対するフェーズ1では116人に投与(日本人15人)し、奏功率は61%(CR2人、PR69人)と高い有効性を確認した。一方、間質性肺炎、肝機能障害、QT延長、血液障害といった重い有害事象のほか、胎児へ致死的な障害を与えるおそれがあることが知られており、十分な安全対策が必要。
▽プルモザイム吸入液2.5mg(ドルナーゼアルファ遺伝子組換え、中外製薬):嚢胞性線維症における肺機能の改善」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。オーファン。再審査期間10年。海外では70カ国で承認。
患者数は年10~15人程度という。同剤はたんの粘度を低くし、排出しやすくするものという。
【報告品目】
▽エンブレル皮下注用25mg、同25mgシリンジ0.5mL、同皮下注用10mg、同10mgシリンジ1.0mL(エタネルセプト遺伝子組換え、ファイザー):「既存治療で効果不十分な関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)」の効能・効果を追加する新効能医薬品。再審査期間は残余期間(平成25年1月18日まで)。「関節の構造的損傷の防止を含む」が適応追加された形。
▽フラジール内服錠250mg、同膣錠250mg(メトロニダゾール、塩野義製薬):「細菌性膣症」の効能・効果を追加する新効能・新用量医薬品。再審査期間なし。
▽注射用イホマイド1g(イホスファミド、塩野義製薬):「悪性リンパ腫」の効能・効果を追加する新効能・新用量医薬品。再審査期間なし。
▽タキソール注射液30mg、同100mg(パクリタキセル、ブリストル・マイヤーズ)、パクリタキセル注30mg/5mL、同100mg/16.7mL(同、日本化薬)
パクリタキセル注射液30mg「サワイ」、同100mg、同150mg(同、沢井製薬)
パクリタキセル点滴静注液30mg「サンド」、同100mg(同、サンド)
「再発又は遠隔転移を有する頭頸部がん、食道がん、血管肉腫」「進行又は再発の子宮頸がん」の効能・効果を追加する新効能・新用量医薬品。「卵巣がんにおける週1回投与」を追加する新用量医薬品。再審査期間なし。
フラジール、イホマイド、パクリタキセルに追加した適応は、医療上の必要性が高いとして厚労省がメーカーに開発を要請されていたもの。追加適応に対する有効性・安全性は広く知られていることから公知申請されていた。特例ですでに保険適用されている。