厚生労働省の薬食審医薬品第二部会は２月１日、新薬２剤の承認の可否について審議し、いずれも了承した。 このうちの一つは、有効な治療法がなく、予後が悪い、再発や難治性の成人T細胞白血病リンパ腫の治療薬で、早ければ３月中にも正式承認となる。

【審議品目】
▽ポテリジオ点滴静注20mg（一般名：モガムリズマブ遺伝子組換え、会社名：協和発酵キリン）：「再発又は難治性のCCR4陽性の成人T細胞白血病リンパ腫」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。オーファンドラッグ。再審査期間10年。
ATLは化学療法のみの治療成績では完全寛解率は16～41％、生存期間中央値は３～13カ月という（国立がん研究センターがん情報センターHPより）。
この薬剤は、ヒト化モノクローナル抗体で、成人T細胞白血病リンパ腫の患者の約９割に発現しているというCCＲ4に結合することで、ATL細胞を傷害し、効果を発揮するとされる。この薬剤には抗体活性を強める技術「ポテリジェント」が使われている。
協和発酵キリンによると、国内フェーズ２では、同剤1.0mg／Kgを１週間間隔で８回投与して、26人について主要評価項目である抗腫瘍効果で有効性をみたところ、奏効率は50％。完全寛解は８人、部分寛解は５人。無増悪生存期間は158日（中央値）だった。11年４月に承認申請されていた。

▽グリベック錠100mg（イマチニブメシル酸塩、ノバルティスファーマ）：「FIPLl1-PDGFRα陽性の好酸球増多症候群又は慢性好酸球性白血病」の効能・効果を追加する新効能・新用量医薬品。オーファンドラッグ。再審査期間10年。
追加される適応症は、血液がんの一種で、好酸球が過剰に増殖して正常な造血が阻害されたり、増殖した好酸球が心臓、肺、脾臓、皮膚および神経系などに浸潤することで、様々な臓器障害を引き起こすという。難治がんで、国内には有効な治療法がないという。
同剤は省内検討会議で、学会から求められた適応が医療上の必要性が高いと判断され、同省がメーカーに開発要請し、公知申請されていたもの。特例により今回追加された適応は既に保険適用されている。

【報告品目】
以下の報告品目は、省内検討会議で、学会から求められた適応が医療上の必要性が高いと判断され、同省がメーカーに開発要請し、公知申請されていたもの。特例により今回追加された適応は既に保険適用されている。

▽サワシリン細粒10％、同カプセル125、同カプセル250、同錠250（アモキシシリン水和物、アステラス製薬）。パセドシン細粒10％、同カプセル125、同カプセル250、同錠250（同、協和発酵キリン）：「ヘリコバクター・ピロリ感染を除く感染症」を効能・効果とし、小児最大投与量を変更する新用量医薬品。

▽ペプシドカプセル25mg、同カプセル50mg（エドポシド、ブリストル・マイヤーズ）。ラステットSカプセル25mg、同Sカプセル50mg（同、日本化薬）：「がん化学療法後に増悪した卵巣がん」の効能・効果を追加する新効能・新用量医薬品。

▽ランダ注10mg/20mL、同注25mg/50mL、同注50mg/100mL（シスプラチン、日本化薬）。ブリプラチン注10mg、同注25mg、同注50mg（同、ブリストル・マイヤーズ）。シスプラチン注10mg「日医工」、同注25mg「日医工」、同注50mg「日医工」（同、日医工）。シスプラチン点滴静注10mg「マルコ」、同点滴静注25mg「マルコ」、同点滴静注50mg「マルコ」（同、日医工ファーマ）。プラトシン注10、同注25、同注50（同、ファイザー）：「胆道がん」の効能・効果を追加する新効能・新用量医薬品。

▽注射用ベンジルペニシリンＧカリウム20万単位、同100万単位（ベンジルペニシリンカリウム、MeijiSeikaファルマ）：「梅毒」の効能・効果を追加する新投与経路・新効能・新用量医薬品。

２成分の未承認適応の公知申請を了承　保険適用に

１日の部会では、２成分の未承認適応症について公知申請することが了承された。省内の検討会議で公知申請が妥当とされた適応外薬で、今回の了承で半年程度かかる正式承認を待たずして、公的健康保険が適用される。

▽追加適応「ニューモシスチス肺炎の予防及び治療」：バクタ配合錠（スルファメトキサゾール・トリメトプリム、塩野義製薬）など
▽追加適応「嫌気性菌、アメーバ赤痢、ランブル鞭毛虫感染症、クロストリジウム・ディフィシル関連腸炎」：フラジール内服錠（メトロニダゾール、塩野義製薬）