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九大・伊藤准教授 治療薬なかった膵神経内分泌腫瘍の標準薬としてアフィニトールに期待

公開日時 2012/01/26 04:01

九州大学病態制御内科の伊藤鉄英准教授は1月25日、ノバルティスファーマが開いたミディセミナーで講演し、国内で膵神経内分泌腫瘍(pNET)治療薬として初めて適応を取得したアフィニトールについて、「進行性膵内分泌腫瘍の患者を対象にした過去最大規模のフェーズ3試験(国際共同治験)で、がんの進行リスクを65%低下させた。有害事象も非常に少ない薬剤」と述べ、今後日本で標準治療薬になりえるとの期待を示した。

 

同剤は10年4月に転移性腎細胞がんの治療薬としてノバルティスが発売したmTOR阻害剤。昨年11月に追加適応を取得した進行性膵内分泌腫瘍では国内初。伊藤氏によると、アフィニトールのpNET患者を対象にした国際共同治験(フェーズ3)では、同剤とベスト・サポーティブ・ケア群と、プラセボとベスト・サポーティブ・ケア群と比較した場合の有効性と安全性を検証した結果、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)の中央値を4.6カ月から11.0カ月に延長し、がんの進行リスクを65%減少させることが実証された。日本人(治験に40人参加)のみを対象としたサブ解析の結果では、PFSはプラセボ群+ベスト・サポーティブ・ケア群の2.83カ月に対し、アフィニトール+ベスト・サポーティブ・ケア群は19.45カ月と、さらに大きな有意差が出た。

 

有害事象は「減量や投与中止につながるグレード3/4が少なく、扱いやすい薬」とされるが、日本人における全グレードでみると、皮疹(87.0%)、口内炎(73.9%)、感染症(65.2%)、爪の障害(52.2%)、鼻出血(43.5%)、間質性肺炎(43.5%)などの発現頻度が高い。特に、同剤は間質性肺炎や感染症については注意が必要となる。間質性肺炎に関しては高熱や空咳が続く場合は、聴診や超音波などで調べるなどして、治療する医師が呼吸器内科の専門医などと連携し適正に使用する必要があるほか、同剤は免疫抑制剤のため結核の既往歴がある患者では顕著化する可能性があり注意が必要だ。

 

pNETは消化器がんのなかでも予後が悪いがんで、国内で受療している推定患者数は年間3000人弱だが、73年から03年までの30年間で発症率が約2倍に増えているという。最近では米アップル社の元CEOのスティーブ・ジョブズ氏が罹患していたことでも知られる。発生頻度が稀で診断までに時間のかかるケースが多く、64%は診断時に手術ができない、または遠隔転移している。切除不能の遠隔転移のあるpNETはNET(神経内分泌腫瘍、膵臓、消化器、呼吸器など様々な臓器に発生)の中でも予後が悪く、平均生存期間は20~22カ月という報告もある。国内ではこれまで治療ガイドラインがなかったが、現在作成中という。


 

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