田辺三菱製薬が５月10日発表した2011年３月期（10年度）連結決算は、「新薬創出・適応外薬解消等促進加算」の適用を受けた抗ヒトＴＮＦαモノクローナル抗体製剤「レミケード」の売上げが前年同期比133億円増と、全体の業績をけん引し、増収増益を達成した。結果、国内の医療用医薬品売上高は3616億円（前年度比＝以下同、2.0％増）となり、薬価引下げの影響を吸収し、増収を確保した。なお、東日本大震災発生に伴う災害損失21億円を計上した。

国内の医療用医薬品の売上げ状況をみると、レミケードが関節リウマチの用法用量変更（増量）などを追い風に好調に推移したほか、アレルギー性疾患治療剤「タリオン」が28億円増、選択的β１遮断剤「メインテート」は13億円増と、ともに業績に寄与した。ワクチン事業では、昨年４月に接種勧奨が再開された感想細胞培養日本脳炎ワクチン「ジェービックＶ」も49億円増と好調だった。

12年３月期（11年度）通期業績予想は、複数の新薬発売を控えるものの、東日本大震災発生による需要増の反動減があると予想。さらに販管費増により、減収減益を見込んでいる。

【連結業績（前年同期比）11年度通期予想（前年同期比）】
売上高4095億4000万円（1.2％増）4030億円（1.6％減）
営業利益765億8400万円（24.6％増）630億円（17.7％減）
経常利益766億8400万円（24.4％増）630億円（17.8％減）
純利益377億4700万円（24.8％増）355億円（6.0％減）

【10年度売上高（09年度実績）11年度通期予想、億円】
レミケード604（471）-
ラジカット287（279）-
セレジスト180（168）-
アンプラーグ164（183）-
ウルソ153（162）-
タリオン134（106）-
メインテート123（110）-
デパス114（115）-
タナトリル96（111）-
ヘルベッサー96（107）-
ヴェノグロブリンIH96（96）-
リプル73（80）-
サアミオン63（72）-
ノイアート55（57）-
オメプラゾン48（55）-
ノバスタン31（28）-
ワクチン296（229）-
（内、ミールビック）122（117）-
（内、インフルエンザ）71（63）-
（内、ジェービックＶ）69（20）-

注）通期予想は品質管理問題、東日本大震災の影響が不透明であるとして、開示していない。