英国の市場分析会社データモニターはこのほど、世界主要７か国の2019年までの循環器系・代謝系市場予測を発表し、脂質異常症治療薬と高血圧症治療薬は19年までに、ほぼ全てのブランドが後発品の脅威にさらされ、市場規模も縮小すると指摘した。一方で、糖尿病治療薬は「強力なパイプラインによる継続的な成長が確実視されている」と分析。19年の循環器系・代謝系市場における売上上位10製品のうち７製品は糖尿病治療薬が占め、メルクのDPP-4阻害薬ジャヌビア（一般名＝シタグリプチン）が循環器系・代謝系市場の売上トップになると予想した（下表）。主要７か国は米国、日本、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、英国。

同社の分析によると、主要７か国の循環器系・代謝系市場は11年にピークを迎えた後衰退を始め、19年の同市場の規模は1010億ドル（09年比40億ドル減）になるとした。19年まで販売数量は高齢化と肥満率の上昇で引き続き増加するが、先発品の割合が縮小してジェネリック化が進む。特に年間約120億ドルを売上げる売上世界１位の脂質異常症治療薬リピトール（アトルバスタチン、ファイザー）の特許切れが米国と日本が11年、欧州主要国は12年とされ、これを境に脂質異常症市場のジェネリック化が一気に進む模様だ。

一方で、成長を続ける見込みの糖尿病市場では、現在開発パイプラインにある糖尿病治療薬が上市した場合、その売上規模は19年に103億ドル近くに達するとし、新規の糖尿病治療薬が市場拡大に大きく寄与すると分析した。同社製薬ヘルスケア部門アナリストのクリスティン・ヘンリー氏は、「循環器系・代謝系疾患治療薬を扱う製薬企業上位10社のうち、09年からの成長が予測される企業はノボ ノルディスクとイーライリリーの２社にすぎない」とコメントした。

なお、19年の売上上位10製品の中の糖尿病治療薬は、１位のDPP-4阻害薬「ジャヌビア」、２位のインスリンアナログ「ランタス」（インスリングラルギン、サノフィ・アベンティス）、３位のインスリンアナログ「ノボラピッド」（インスリンアスパルト、ノボ ノルディスク）、４位の次世代の長持効型基礎インスリン「Degludec」（＝一般名、ノボ ノルディスク）、６位の週１回投与型のGLP-1受容体作動薬「Bydureon」（週１回投与型エキセナチド、アミリン／イーライリリー／アルカミーズ共同開発）、８位のインスリンアナログ「ヒューマログ」（インスリンリスプロ、イーライリリー）、10位のDPP-4阻害薬シタグリプチンとメトホルミンの配合剤「ジャヌメット」（シタグリプチン／メトホルミン、メルク）――の７製品。

また、19年には新規機序の直接トロンビン阻害薬「プラザキサ」（ダビガトラン、ベーリンガーインゲルハイム）が売上高11位に、ファクターXa阻害薬「ザレルト」（リバロキサバン、バイエル／ジョンソン・エンド・ジョンソン）が同12位にランクインすると予想した。

データモニターによる09年、14年、19年の循環器系・代謝系疾患治療薬の売上高ランキングは以下の通り。