ノバルティス タシグナがCML1次治療薬に グリベック以来9年ぶり
公開日時 2010/12/22 04:02
ノバルティス ファーマは12月21日、日本で、これまで慢性骨髄性白血病(CML)の2次治療薬だった抗がん剤タシグナ(一般名:ニロチニブ塩酸塩水和物)について、CMLの1次治療薬としての承認を同日付で取得したと発表した。初発のCML患者に対する治療の選択肢としては、同社の抗がん剤グリベック(一般名:イマチニブメシル酸塩)以来、9年ぶりとなる。CML2次治療の標準用量は1回400mg、1日2回投与だが、CML1次治療では1回300mg、1日2回投与となる。このため同社はタシグナ150mgカプセルの製造販売承認も同日付で取得した。
タシグナはこれまで、グリベックによる治療で十分な効果が得られない、または得られていた効果が消失してしまうなどのCML患者に対する2次治療薬だった。
今回の1次治療薬としての承認は、初発の慢性期CML成人患者を対象に実施したENESTnd試験に基づくもの。同試験は、タシグナの有効性と安全性を、グリベックを対照に検討した過去最大規模の国際共同比較試験で、日本人患者が79人含まれる。その結果、タシグナはグリベックに比べて、CMLの原因となるBCR-ABL遺伝子発現量を早期に減少させ、治療開始から12か月という早い時点で病期進行を有意に抑制した。具体的にはタシグナは12か月の時点で、CML患者の長期予後の予測で重要な指標となるMMR(分子遺伝学的大寛解:骨髄あるいは血液中のBCR-ABL遺伝子が0.1%以下の状態)やCCyR(細胞遺伝学的完全寛解:CMLの原因となるフィラデルフィア染色体が検出されない状態)――のいずれの達成率でも、グリベックを上回る効果を示した。
同社はこれで、初発CMLに対する治療の選択肢を2剤ラインナップする。今後の情報提供活動について同社は本誌に、医師が患者にとって最適な治療法を選択することが基本と強調した上で、「初発CML患者さんに対して、今回、タシグナはグリベックよりも早い時期に良い効果が示された。このため当社としてはタシグナを推奨していく」とコメントした。同社のオンコロジーMRは約400人(6月末現在)。