武田薬品のファクターXa阻害剤 高用量群で大出血発生率が高い傾向 米欧P2速報結果
公開日時 2010/10/28 04:00
武田薬品は10月26日、自社創製のファクターXa阻害剤TAK-442の米欧フェーズ2試験(P2)の速報結果を発表した。米欧P2は急性冠症候群(ACS)患者を対象に実施したが、安全性では、大出血発生率が低用量群で低かったものの、高用量群で総じて高い傾向が認められた。一方、有効性では複合心血管イベント発生率で「本薬による明確なイベントリスクの減少傾向及び用量反応性は認められなかった」という。同社は、今後の詳細な解析結果を踏まえて、「早期に今後の開発方針を決定する」としている。
◎「日本を含めて総合的に今後の開発方針決める」
同社は日本でも今年4月から、米欧とは異なるプロトコルでP2を実施している。同社コーポレート・コミュニケーション部は本誌取材に、「日本を含めて総合的に今後の開発方針を決めることになる」と述べた。日本では30歳以上80歳以下の動脈血栓症患者を対象に安全性と忍容性を評価している。
米欧P2は2007年11月にACSを発症した患者を対象に始めた。同試験は複数用量(最小用量10mg×2回/日~最大用量120mg×2回/日)における安全性と忍容性を評価することが目的。心血管イベント再発予防のための標準治療(アスピリンもしくは複数の抗血小板薬による治療)にTAK-442かプラセボを加えた。症例数は2753例。
安全性の主要評価項目は24週間の治療期間中の大出血発生率で、速報結果では、「低用量群において低く、高用量群においてはプラセボと比較して総じて高い傾向が認められた」という。一方、有効性は、▽心血管死▽非致死性心筋梗塞▽非致死性脳血管障害▽入院を必要とする心筋虚血-による複合心血管イベントを主要評価項目としていたが、明確なイベントリスクの減少傾向や用量反応性は認められなかった。安全性に課題が出たために、有効性を十分評価できるまで試験を継続できたのかなど、詳細は現時点で不明。
TAK-442は、血液凝固過程で重要な役割を果たすファクターXa因子を選択的に阻害する新規の抗凝固薬。同社は日米欧で2013年度~15年度の承認取得を目指している。