【日本高血圧学会リポート】田主丸町研究 ホモシステイン、ET-1、RLP-C高値は高血圧に進展
公開日時 2010/10/20 06:00
ホモシステイン、エンドセリン-1(ET-1)、レムナントリポ蛋白(RLP-C)の高値は高血圧進展に大きく関与していることが分かった。久留米大学医学部地域医療講座の足立寿准教授が10月15日、福岡県久留米市田主丸町での一般住民健診データ「田主丸町研究」をもとに日本高血圧学会のシンポジウム「わが国の高血圧の代表的疫学コホートとその成果」で報告した。
田主丸町研究は1958年からアメリカ、日本、イタリア、ギリシャ、オランダ、フィンランド、旧ユーゴスラビアの世界7カ国共同研究の一環として始まり、現在でも10年毎に循環器を中心とした住民検診を実施している大規模なコホート研究。
足立准教授らは、1999年に実施した健診者のうち血圧が正常だった500人を対象に10年間追跡調査し、血清ホモシステイン値と高血圧進展との関連性を調査。血清ホモシステイン8.5μmol/L未満の群で高血圧に進展したのは36.4%だったのに対し、10.5μmol/L以上の群では52.7%となり、補正なしあるいは年齢、性別、収縮期血圧値などで補正しても10.5μmol/L以上の群のオッズ比は1.640~1.942(95%C.I 1.018~3.016、p<0.05)と有意に高かった。
また、血管収縮物質・ET-1の血清濃度と高血圧進展との関係では、血清ET-1値高値例では、年齢、性別、収縮期血圧、クレアチニン値、尿酸値、BMI、トリグリセライドなどで補正すると、血清ET-1値低値に比べてオッズ比1.57~1.84(95%C.I 1.09~2.77、p<0.01あるいはp<0.05)。
さらにRLP-C4.6mg/dlを基準にそれ以下の群とそれ以上の群では、10年間の追跡期間中の高血圧発症割合はそれぞれ41.8%、53.1%で、4.6mg/dl以上の群のそれ以下の群に対するオッズ比は補正なし、年齢、性別、ベースライン時の収縮期血圧・LDLコレステロール・空腹時血糖・喫煙などで補正した場合でも1.548~1.679(95%CI 1.117~2.468、p<0.01)となり、ホモシステインと同様に血清ET-1、RLP-Cともに高血圧進展に関与している可能性が示唆された。