【WSCリポート】J-STARS試験 日本から国際的なエビデンス発信を
公開日時 2010/10/15 06:00
プラバスタチン投与による脳卒中再発抑制効果と安全性を検討する「J-STARS」試験が2009年2月までに1579例が登録され、試験が進行中であることが分かった。主任研究者を務める広島大学大学院脳神経内科学の松本昌泰氏が、韓国・ソウルで開催さされている第7回世界脳卒中学会議のポスターセッションで10月14日報告した。(韓国・ソウル発 望月英梨)
試験は、虚血性脳卒中患者において、プラバスタチンを投与することで脳血管疾患の再発抑制効果と安全性を検討するのが目的の前向きランダム化比較試験。対象は、心原性脳塞栓症を除く虚血性脳卒中患者。オープンラベルで、①プラバスタチン10mg/日投与群②非スタチン投与群――の2群に分け、治療効果を比較する。
米国ではアトルバスタチンの高用量(80mg)投与による脳卒中再発抑制効果を検討した「SPARCL」試験が行われ、脳卒中再発抑制効果が示されている。脂質低下療法を越えたスタチンのプレイオトロピックエフェクト(多面的作用)が期待されている。一方で、日本人を対象にしたエビデンスは十分にないのが現状だ。
試験は、2004年3月~2009年2月までに、全国123施設から1579例が登録されている。平均追跡期間は2.8年間。
今回発表されたベースライン解析によると、脳梗塞のサブタイプではラクナ梗塞が最も多く64.2%、次いでアテローム血栓性脳梗塞は25.4%、原因不明が10.4%。平均年齢は66.2歳。既往歴は高血圧が39.9%、糖尿病が23.3%。BMIは23.7と低く、“日本人”の米国とは異なる“日本人”を対象にしたエビデンス構築に期待がかかる。
松本氏は弊誌の取材に応じ、「これまで日本から国際的に発信したエビデンスはほとんどなかった」と指摘。同試験の実施に伴い、頚動脈エコーの技術の講習なども開催し、標準化を進めることで、「日本から国際的にエビデンスを発信したい」と意欲をみせた。
同試験は来年6月に中間解析を予定。結果を判断し、試験の継続を決めるとしている。