深在性真菌症を合併した膠原病患者の治療 (2/2)
公開日時 2010/06/03 04:00
大阪医科大第一内科(膠原病内科) 小谷卓矢氏に聞く
他剤抵抗例にも安全に投与可能重篤な腎障害も発現せず
アムホテリシンBリポソーム製剤の有効性・安全性についてはすでに血液領域や移植領域では報告されている一方で、膠原病領域でのエビデンスは十分ではなく、日本人を対象としたまとまった報告というのは、初めてとなると思います。
今回の検討では、半数以上が他剤抵抗例でしたから、そのような患者さんにも安全に投与できたのは期待がもてる結果です。アスペルギルスなどの深在性真菌症への効果が強いと言えます。また、薬物間の相互作用が少ないので、基礎疾患のために種々の薬剤を使用している場合でも比較的併用しやすい薬剤ではないでしょうか。
安全性の点から、腎機能なども検討しましたが、重篤な腎障害は発現しませんでした。海外では、腎障害の発現頻度は14%と報告されていますが、それと比べると少ない結果でした。高齢者では腎機能が低下しますが、それを考慮し減量したところ、今回は副作用が増加することはなかったですね。限られた症例での検討なので今後の症例の蓄積が必要ですが、肝・腎機能及び電解質の管理に留意し、投与期間も含め、症例に合わせて投与を行えば使いにくい薬剤ではないと思います。