C型肝炎治療薬 製薬各社で進むIL-28遺伝子多型による薬効評価
公開日時 2010/05/17 04:00
C型肝炎治療に対する新たな遺伝子マーカーの登場により、同領域の治療薬開発にも新たな動きが見え始めている。
昨年夏以降、デューク大学の研究グループがC型肝炎に対するペグインターフェロンとリバビリン併用療法の効果とヒトIL-28 B遺伝子多型に関連があると報告したほか、ジョンズ・ホプキンズ大学の研究グループからも、やはりIL-28 B遺伝子の特定多型でC型肝炎ウイルスの自然消滅が見られると発表され、4月にオーストリアのウィーンで開催されたヨーロッパ肝臓学会議第45回年次総会でもこのIL-28 B遺伝子を巡る議論が活発に行われている。
これらいずれの報告もIL-28 B遺伝子多型でC/C型が標準治療への反応が良好でウイルスの自然消滅も起こりやすく、遺伝子多型のC/T型、T/T型では治療反応性も不良でウイルスの自然消滅も起こりにくいというもの。
こうした動きを先取りする製薬企業も登場している。C型肝炎に対する治療ワクチンGI-5005を開発中のGlobeImmune社(本社:アメリカ・コロラド州ルイスビル)は、既に行ったフェーズⅡB試験の結果とIL-28 B遺伝子多型との関係に関するレトロスペクティブな検討を行い、標準治療であるペグインターフェロンとリバビリンの併用療法に最も反応性の低いT/T型で標準治療にGI-5005を併用することで、対象患者で100%のウイルス陰性化が得られたと前述のヨーロッパ肝臓学会で発表している。
また、メルク社でC型肝炎ウイルスのプロテアーゼ阻害薬narlaprevirの開発責任者を務めるJohn Vierling氏は、同社がIL-28 B遺伝子多型をnarlaprevirの分析オプションとしていることを認めたうえで、「インターフェロン療法では副作用のほとんどが用量依存性があることから、この分析により今後は患者によりより低用量で副作用を軽減する技術になる可能性がある」との見解を示している。
一方、製薬企業側がIL-28 Bによる評価を取り入れるに従って、C型肝炎治療薬の承認申請の際に各国規制当局がこうした評価手法によるデータを要求してくる可能性も浮上している。
(The Pink Sheet 4月26日号より) FDAと米国製薬企業の情報満載 “The Pink Sheet”はこちらから