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厚労省・薬害再発防止委が報告書 メーカーにも対策求める

公開日時 2010/03/31 04:01

厚生労働省の「薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会」は3月30日、製薬企業、医療期間、行政に対する提言を盛り込んだ報告書を大筋でまとめた。この中では「製薬企業の在り方」の項目を設け、医薬品のリスク評価を適切に行い、リスクに対し迅速な行動をとれる体制の構築、薬害教育の実施などを提言。結果的に被害拡大につながる不適正使用を促すような情報提供、広告には行政、企業双方に改善する取り組みを求めた。

08年5月に初会合を開いた検討会は09年3月末までの予定だったが、十分な検討ができないかったことから延長し、約2年、計23回の会合を重ねて報告書の取りまとめ作業に至った。近く「最終提言」として正式にまとめ、長妻明厚生労働大臣に提出し、提言の実施を求める。

製薬企業については、「製薬企業のモラル等」の項目が設けられ、安全性に関する情報を隠蔽せずに公開していくことなど「職業倫理、情報の公開等が自己規律等により遵守されるべきである」とした。

「製薬企業の在り方」の項目では、特に安全対策について「過去の薬害の教訓は、製薬企業が、安全性を過大に、危険性を過小に評価する過ちを犯しやすいことを示している」と指摘。これを踏まえて各企業に対し、医薬品のリスク評価を適切に行い、社内共有、リスクに対する迅速な行動をとれる体制構築を提言した。そのためトップをはじめ全ての職員まで「意識改革をする必要」があるとして、薬害教育を必須とすることを求めた。併せて、後日検証できるよう、記録の作成と保管、なんらかの形で当該製品を「相当期間」保管することも求めた。

報告書は、情報提供や広告のあり方にも触れた。その中で「製薬企業が、プレスリリース、医師の対談記事の配布、普及啓発広告、学術情報の伝達や患者会への情報提供を装って医薬品の適応外使用の実質的な宣伝行為を行っている場合や、医薬品の効能効果について過度な期待を抱かせる広告・宣伝や患者会へ情報提供している場合」、結果として不適正な使用が助長され被害の拡大につながってしまうとし、行政に指導監督を求めた。これら指導事項は「製薬企業の在り方が問われているものと受け止めて、企業としても改善に努める必要がある」とし、対応を促した。

今回の報告書の目玉提言は、薬事行政を監視する第3者組織の設置。関係省庁による行政評価、厚労省自身の判断だけでは限界があるとして、独立した組織として安全対策の実施状況などを監視、評価し、薬害の未然防止や被害拡大防止の対策をとるよう、関係行政機関へ提言、勧告、意見具申を行う権限を持つ。そのため行政や企業から情報提供を受ける権限を持つ。

組織は薬害被害者、市民、医師、薬剤師、法律家など10人程度から構成。当面は厚生労働省に設置するが、「あらゆる方策を講じ、中立公正に監視評価機能を果たせるようにするべきである」としている。なお、薬事行政組織のあり方については、検討が十分にできず、今後の検討課題となった。

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