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ソラフェニブ HER2ネガティブ乳がんのフェーズ2で有望な結果

公開日時 2009/09/24 14:00

ESMO Baseiga氏分子標的薬ソラフェニブの効果や安全性を局所進行・転移性HER2陰性の乳がんで検証したフェーズ2試験(SOLTI-0701)の結果が、9月23日にドイツ・ベルリンで開かれた第34回欧州臨床腫瘍学会(ESMO)・第15回欧州癌学会(ECCO)で発表された。Presidential Sessionで、スペイン・バルセロナのVall d’Hebron University HospitalのJ.Baselga氏が報告した。標準治療のカペシタビンとの併用療法で、無増悪生存期間(PFS)を有意に延長させることが示されたことなどから、Baselga氏は、「この試験はソラフェニブが化学療法と併用した場合、有益な乳がん治療法に加わる可能性を示すものだ」と評価した。この試験に日本人は含まれていない。(23日ドイツ・ベルリン発 小沼紀子)


試験は多国籍の二重盲検ランダム化プラセボコントロール試験。局所進行・転移性の18歳以上のHER2陰性乳がんで、前治療で化学療法(タキサン、アンソラサイクリンなど)を一回以上受けている患者229人を対象に実施された。


平均年齢は55.1歳(29~79歳)で、AJCCにもとづくがんのステージはⅢb/Ⅲcがほぼ1割、ステージⅣがほぼ9割で、ホルモンレセプターがER陽性またはPR陽性がソラフェニブ+カペシタビンでは77%、プラセボ+Cでは68%だった。一方、ER、PRともに陰性は前者が17%、後者が28%だった。ソラフェニブ400mg(1日2回)とカペシタビン1000mg/m2(1日2回)を併用した群(115人)とプラセボとカペシタビン1000mg/m2(1日2回)の併用群(114人)の2群に対し、14日間薬剤を投与した後、7日間カペシタビンを休薬する方法で実施された。主要評価項目はPFS、副次評価項目は生存期間(OS)、無増悪期間(TTP)、PR(部分奏効)、効果の持続、安全性。

 

◎病態進行のリスクを42%減少


試験結果をみると、ソラフェニブ(SOR)+カペシタビン(CAP)群ではPFSの中央値が6.4%だったのに対し、プラセボ(PL)+CAP群では4.1%で、SOR併用群で病態進行のリスクを42%減少させたことが分かった。


一方、奏効率をみると、著効(CR)はSOR+CAP群で1.7%に対し、PL+CAP群で0.9%、PRはSOR+CAP群で36.5%に対し、PL+CAP群で29.8%、SD(病勢安定)がSOR+CAP群で43.5%に対し、PL+CAP群で37.7%、悪化(PD)はSOR+CAP群で10.4%に対し、PL+CAP群で23.7%だった。全奏効率(ORR)はSOR+CAP群が38.3%、PL+CAP群が30.7%だった。


有害事象は下痢がSOR+CAP群で53%(グレード3は5%)、PL+CAP群が30%(5%)、粘膜炎症が32%(1%)に対し19%(3%)、無力症が24%(0%)に対し27%(2%)、皮疹が22%(3%)に対し8%(0%)、高血圧が17%(1%)に対し12%(2%)、倦怠感が14%(2%)に対し13%(1%)筋骨格の痛みが12%(2%)に対し6%(0%)、呼吸困難が12%(5%)に対し12%(3%、グレード4が1%)好中球減少症が11%(4%、グレード4が1%)に対し4%(2%、グレード4が1%)だった。


現在、この治療法がQOLに与える影響やトリプルネガティブ乳がんやホルモン受容体陽性乳がんへの効果、他の治療薬(タキサン、ゲムシタビン、アロマターゼ阻害剤)との併用についても検討中という。


ソラフェニブは日本では腎細胞がん、肝がん治療薬として発売されているが、乳がんを対象にした臨床試験は実施していない。

 
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