TARDIS試験 抗血小板薬3剤併用の意義を検討 (2/2)
公開日時 2011/03/10 04:00
Investigatorに聞く!
Philip Bath氏
英国・Universityof Nottingham 脳卒中診療部門教授
急性期のストラテジー構築を目指す
これまでの知見から、脳卒中やTIAの発症急性期の患者、特に発症数時間から2週間後までは、致死的脳卒中や広範囲にわたる梗塞を含むイベントの発症リスクが高いとの仮説を立てました。その上で、いかにこのリスクを低減できるか、検討するのがTARDIS試験です。
抗血小板薬3剤併用を選択したのは、脳卒中再発抑制効果が1剤より2剤の方が高いことが分かっていますから、3剤ではさらに高いのではないかと考えたためです。
これまでの臨床試験の結果から、抗血小板療法下での出血リスクは発症から時間がたつにつれ高まることが示唆されています。この結果を我々は逆に、急性期では出血リスクが比較的低く、かつ脳梗塞再発リスクが高いととらえました。
一方で、慢性期では脳梗塞の再発リスクが急性期に比べ低下することから、3剤併用は1カ月間に限定して行うとしました。1カ月間としたのは、脳梗塞再発抑制効果と出血リスクのバランスを考慮したためです。これまでのエビデンスから、7日間では、十分な再発抑制効果が得られず、90日間投与してしまうと、出血リスクが上回ると考えたためです。
急性期と慢性期は病態が変化していきますから、それに応じた治療が必要だと考えています。今回の試験により、急性期には、3剤併用という積極的な抗血小板療法を行うことで有効性も安全性も高いことが検証できればと思います。結果が明らかになり、期間により抗血小板療法のストラテジーが変わり、短期間の抗血小板療法は3剤併用が望ましいという方向に向かうことに期待しています。