抗血小板薬 レジスタンス発現で求められる検査の標準化 (4/4)
公開日時 2010/06/03 15:00
クロピドグレル不応性 シロスタゾール上乗せで抗血小板作用強化
クロピドグレルに、シロスタゾールを上乗せすることで不応性を克服できる可能性がでてきた。4月15日の一般口演で、埼玉医科大学国際医療センター神経内科・脳卒中内科の丸山元氏らが報告した内容を紹介する。
クロピドグレルの不応性は5~44%と報告されているが、血小板凝集能の測定方法の違いやカットオフ値が定まっていないことから、一定の見解が得られていないのが現状だ。
丸山氏らは、クロピドグレル単独とクロピドグレル+シロスタゾール併用における血小板凝集能を測定し、不応性の頻度を比較した。血小板凝集能の測定には、ADP20μM下で、全血を試料とする「VerifyNow P2Y12 Assay」を用いた。
対象は、2009年10月~10年3月の間に、クロピドグレル75mg/日を1週間以上内服していた虚血性脳卒中または脳血管狭窄患者77人。①クロピドグレル単独群62人②クロピドグレル+シロスタゾール100mg/日または200mg/日群15人――に分け、血小板凝集能を比較した。なお、クロピドグレルの不応性は、凝集阻害率10%以下とした。
その結果、血小板凝集阻害率は、クロピドグレル単独群で、41.7±28.0%、併用群で64.9 ± 22.7%で、有意に併用群で多い結果となった(P値=0.005)。
不応性と判断されたのは、単独群で16.1%(10人)だったのに対し、併用群では1例もみられなかった。
丸山氏は、クロピドグレルとシロスタゾールの作用機序が異なることから、「併用することで、抗血小板作用が強化された」との見解を示した。