国内MR数 1年で2300人超減少 新型コロナの影響はこれから ミクス調査
公開日時 2020/05/29 04:52
ミクス編集部が製薬各社を対象に2020年MR数アンケート調査を実施したところ、MRがこの1年間に2300人以上減ったことがわかった。20年調査の有効回答58社のうち、前回19年調査と比較可能な53社の合計MR数を比較した。19年調査でも前年から2500人超減っており、この2年間にMRの規模縮小がより進んだことになる。
毎年恒例のミクスのMR数調査は、原則4月1日現在のMR数に4月入社のMR数を合算して、当該企業のMR数としている。前年調査と比較可能な53社のMR数は、19年4月は3万8273人だったのに対し、今回20年4月は3万5958人となり、2315人の減少となった。ただ、この1年間に早期退職者を募ったサノフィ、バイエル、ノバルティスは今回調査でMR数は非開示または未回答だったため、この1年間にMR数は「2300人以上」減少したと考えられそうだ。
■5社で200人以上減
1年間にMR数が200人以上減ったのは、アステラス製薬(300人減)、MSD(300人減)、鳥居薬品(285人減)、ファイザー(249人減)、グラクソ・スミスクライン(200人減)―― の5社だった。
アステラスはこれまで、旧アステラス・アムジェン・バイオファーマ(4月1日から「アムジェン」)への出向者を含めて2000人体制と公表していたが、今回、アムジェンへの転籍者、社内異動、入社/退職者などにより1700人体制になった。
MSD、鳥居、ファイザーは19年度に早期退職者を募集した。MSDはスペシャリティシフトにより、鳥居は抗HIV薬の販売権をギリアド・サイエンシズに返還したため、スリム化を図った。MSDは1600人体制になった。ファイザーは市場環境の変化スピードと厳しさが想定以上だとしてコスト構造改革を断行、MR数は1971人となり、今回2000人を切った。
100人以上減ったのは計9社で、前述の5社に、興和(175人減)、中外製薬(137人減)、大日本住友製薬(135人減)、武田薬品(100人減)が含まれる。このうち興和は20年4月1日付けで子会社の興和創薬を興和に統合、MR数は前年の単純合算(興和+興和創薬)の909人が社内異動などにより、今回734人になった。大日本住友のMR数は985人で、今回1000人を切った。
中堅企業の人事担当者からは、「今回回答したMR数に新型コロナの影響は入っていない。MRの存在意義が問われており、今後の数は読めない」との声が寄せられた。新型コロナウイルスの感染拡大防止に向けて、デジタルによる情報活動は増加し、MRの医療機関への訪問回数は減少すると見る向きは多い。MRの役割や活動がポストコロナに再定義されたとき、業界のMRの規模もみえてきそうだ。
調査の詳細はミクス6月号(6月1日発売)とミクスOnlineに掲載します。文末の「関連ファイル」にひと足早くMR数上位20社の表を掲載しました(会員のみダウンロードできます。無料トライアルなどのお申込みは、こちら)。