キッセイ薬品は５月８日、2012年３月期（11年度）決算を発表した。主力の排尿障害改善薬ユリーフの売上が前期比14.7％増と好調に推移した。ただ長期収載品の伸び悩みで医薬品事業の業績は微増収だった。同社によると、第一三共を含めた２社合計のシェアは30％超と順調に拡大しており、「今期中にはトップシェアのハルナール（アステラス製薬）を抜けそうだ」と自信を深めている。

医薬品事業の業績は、売上高555億200万円（前期比0.3％増）、セグメント利益70億4900万円（13.3％増）と、２桁増益となった。これには10年５月に発売したEPO製剤のバイオシミラーであるエポエチンアルファBSの売上高が131.7％増となったことも寄与しているが、当初予想の34億円に届かず、売上高は30億円を下回った。「採用軒数は想定どおりだが、１軒あたり処方量が思うように増えなかった」ため。12年度は、「診療報酬改定で、透析の包括点数が引き下げられたので、価格の安いバイオ後続品の強みが出せる」とし、目標を40億7000万円に設定。達成の確度は、以前より高まっているとしている。

糖尿病治療薬ではグルファストは16.7％減、昨年７月に新発売したベイスンとの配合剤のグルベスも６億円半ばだった。

通期予想は、７％の薬価改定の影響を受け、長期収載品の落ち込みをカバーできず減収減益を見込む。

【連結業績（前年同期比）12年度通期予想（前年同期比）】
売上高646億1800万円（0.3％増）613億円（5.1％減）
営業利益74億6500万円（15.5％増）57億円（23.6％減）
経常利益83億2600万円（20.0％増）64億円（23.1％減）
純利益47億6900万円（19.1％増）42億円（11.9％減）

【11年度売上高（10年度実績）12年度通期予想、億円】
ユリーフ111.56（97.23）120.60
グルファスト42.99（51.60）39.30
グルベス6.68（-）16.00
サラジェン10.46（9.90）12.00
エポエチンアルファＢＳ注ＪＣＲ28.99（12.51）40.70
ベザトール70.91（74.59）62.30
ウテメリン43.38（46.27）40.50
キサンボン14.67（16.97）12.60
リザベン点眼液20.86（26.65）17.90
リザベン17.23（19.11）16.60
ドメナン2.57（3.12）2.40
フラグミン5.95（8.37）4.60
リズモンＴＧ点眼液6.48（8.74）5.30
ゾラデックス1.8ｍｇデポ6.93（8.05）6.50
フルスタン6.22（6.47）6.40
カバサール21.63（25.68）-

＊カバサールは４月１日よりファイザーへ販売を移管