日本糖尿病学会 ビグアナイド薬の適正使用を勧告
公開日時 2012/02/09 04:02
日本糖尿病学会の「ビグアナイド薬の適正使用に関する委員会」はこのほど、ビグアナイド(BG)薬の適正使用に関する「Recommendation」を発表した。BG薬の投与患者における乳酸アシドーシス症例を検討した結果、▽腎機能障害患者(透析患者を含む)▽過度のアルコール摂取、シックデイ、脱水などの患者▽心血管・肺機能障害、手術前後、肝機能障害などの患者▽高齢者――の特徴が認められたと指摘。禁忌や慎重投与となっている事項に違反した事例がほとんどだったため、添付文書遵守の徹底を求めた。
Recommendationでは、指摘した特徴が、投与量や投与期間に一定の傾向は認められないことも報告。低用量の症例や、投与直後、数年後に発現した症例もあったとした。その上で、「患者の病態・生活習慣などから薬剤の効果や副作用の危険性を勘案した上で適切な患者を選択し、患者に対して服薬や生活習慣などの指導を十分に行うことが重要」と強調した。
腎機能障害患者については、メトグルコを除くBG薬では禁忌とされている。メトグルコは、中等度以上の腎機能障害では禁忌で、SCr値(酸素法)が男性1.3mg/dL、女性1.2mg/dL以上の患者には投与を推奨しないことを明記した。高齢者に関しては「SCr値が正常範囲内であっても実際の腎機能が低下していることがあるので、eGFRなども考慮して腎機能の評価を行う」よう求めた。
過度のアルコール摂取や脱水などの患者については、注意・指導が必要な状態については禁忌。また、患者への適切な注意・指導を行い、必要に応じて家族にも指導することを指摘した。
心血管・肺機能障害などの患者に関しては、心血管・肺機能障害、手術前後(食事制限のない小手術除く)は禁忌で、肝機能障害についてはメトグルコを除き禁忌。メトグルコは軽度~中等度までは慎重投与であることを明記した。また、経口摂取が困難な患者や寝たきりなど全身状態が悪い患者には「投与すべきではない」とも記載した。
高齢者については、メトグルコ以外は禁忌。メトグルコについては、「慎重投与である」とし、「特に75歳以上の高齢者ではより慎重な判断が必要であり、原則として新規患者への投与を推奨しない」などと注意喚起した。
Recommendationの作成日は2月1日付。委員会のメンバーは、京都大大学院の稲垣暢也、東京大大学院の植木浩二郎、川崎医科大の加来浩平、東京大大学院の門脇孝、関西電力病院の清野裕、旭川医科大の羽田勝計――の各氏。