【ACC.11関連】米国心臓病学会財団(ACCF)と米国心臓協会(AHA) 不安定狭心症/非ST上昇型心筋梗塞の管理GLを改訂
公開日時 2011/04/04 08:24
米国心臓病学会財団(ACCF)、米国心臓協会(AHA)は、「不安定狭心症/非ST上昇型心筋梗塞の管理GL」を改訂した。改訂は2007年以来4年ぶり。この間に蓄積したエビデンスを踏まえ、抗血小板療法や抗凝固療法についてさらに詳細に明記したものとなった。3月28日付の「Circulation」Online版に掲載された。
GLコミッティーは、2008年~2010年4月までに、米国心臓病学会(ACC)、AHA、欧州心臓病学会(ESC)の年次学術集会のLate-breaking Clinical Trialsで発表されたエビデンスや、そのほかの重要なエビデンスを対象に、レビューを行い、改訂を行った。
抗血小板療法としては、入院後直ちにアスピリンを投与することを推奨し、認容性があれば継続投与を求めた(エビデンスレベル:A)。クロピドグレルは、アスピリンの認容性がない患者に対する患者への投与が推奨された(エビデンスレベル:B)・
◎プラスグレルの位置づけ新たに明記へ
この間に、新たに承認された抗血小板薬・プラスグレルは、「経皮的冠動脈形成術(PCI)として知られる動脈拡張術を受けている急性冠症候群(ACS)患者におけるステント血栓症を含む血栓性の心血管系イベントリスクの抑制」を適応としている。このエビデンスとなっているのが、同剤とクロピドグレルの有効性・安全性を直接比較した臨床第3相試験(P3)「TRITON-TIMI38」だ。試験結果では、主要評価項目の虚血性イベントの発症を、プラスグレル群ではクロピドグレル群に比べ、有意に抑制したが、大出血の頻度がクロピドグレル群に比べ、高い結果となった。
この結果を受け、プラスグレルについては、中等度~ハイリスクの不安定狭心症/ST上昇型心筋梗塞患者に対する積極的な治療を行う際に、アスピリンの併用薬として推奨された(エビデンスレベル:B)。ただ、出血リスクを考慮し、PCI施行例のみを投与対象とし、血管造影を行う症例にルーチンに投与することは推奨しないとした。
◎PCI施行後のクロピドグレル、プラスグレルの投与は12カ月間以上を推奨
PCI施行時の積極的な抗血小板療法の有用性も明記された。出血リスクが高いと考えられない患者に対しては、クロピドグレル600mgのloadingの後に、維持用量を150mg/日の高用量を6日間投与し、その後に75mg/日への切り替えを行うことを考慮することが合理的かもしれないとした(エビデンスレベル:B)。
PCI施行後には、クロピドグレル75mg/日、プラスグレル10mg/日の12カ月間以上の継続投与を求めた(エビデンスレベル:B)。ただし、出血リスクが高い患者では早期に投与中止することも考慮すべきとしている(エビデンスレベル:C)。今回の改訂ではデバイスの種類による投与期間は削除された。
そのほか、GPⅡb/Ⅲa阻害剤のabciximabについても、新たな推奨を追記した。すでにアスピリンやチエノピリジン系薬剤を服用し、積極的な治療をされている出血リスクの少ないハイリスク患者への投与を考慮してもよいとした。ハイリスク患者には、トロポニン値上昇例や、糖尿病患者、明らかなST下降がみられる患者が含まれる。一方、出血リスクが高い低リスク症例については、投与を推奨しないことも明記している。