米インスメッド ワイズCCO 日本法人の従業員数25年末までに倍増 新薬上市視野にMR増員 自販確立へ
公開日時 2024/07/17 04:52
米・インスメッドのドレイトン・ワイズ チーフ・コマーシャル・オフィサー(CCO)は7月16日、東京都内で本誌インタビューに応じ、日本法人の約100人の従業員数を2025年末までに200人超まで倍増する計画を明らかした。職種別の採用人数は明らかにしていないが、現在のMR30人体制は大幅に拡充するという。増員の理由についてワイズCCOは、21年5月に上市した難治性肺MAC症治療薬アリケイスが着実に市場浸透したのに加え、2番目の製品として期待する気管支拡張症に対するDPP-1阻害薬ブレンソカチブが25年上期に製造販売承認を厚労省に申請することから、自販体制の強化と製品の大型化を見込み、人員体制を増強するとした。
インスメッド社は1988年に米国で誕生した新興バイオファーマ。日本法人は「インスメッド合同会社」として2017年に設立し、21年のアリケイスの上市を皮切りに日本市場での製品戦略を本格化させた。24年第1四半期業績でもアリケイスは日本を含む米欧で「2桁成長」(ワイズCCO)を確保している。この日の取材でワイズCCOは、アリケイスの導入が日本ビジネスの立ち上げを成功に導く原動力になったと明かし、日本への投資を継続する方針を明言した。
◎第2弾の新薬として気管支拡張症治療薬ブレンソカチブに期待
また、第2弾の新薬として気管支拡張症治療薬ブレンソカチブに期待を寄せた。同社は今年6月3日に日本を含む国際共同第3相試験「ASPEN」の結果を発表しており、気管支拡張症患者について肺疾患増悪発生頻度をプラセボ投与群と比較したところ、主要評価項目の肺疾患増悪(PEs)の発生率については統計学的に有意な減少及び臨床的に意義のある減少を示した。複数の副次的評価項目も10mgおよび25mgの両用量で統計学的有意性を確認している。安全性プロファイルも良好な忍容性を示した。ワイズCCOはこの試験結果を踏まえ、「25年上期に厚労省に製造販売承認を申請、26年上期のローンチ(承認)を目指す」との考えを表明した。なお、米国は年内に、欧州は25年上期に申請する予定。
◎アリケイスとブレンソカチブ 「疾患間のシナジーが非常に大きい」MR活動も最適
ワイズCCOは、日本に導入したアリケイスの難治性肺MAC症とブレンソカチブの気管支拡張患者について、「疾患の間のシナジーというのも非常に大きなものがある。つまり(インスメッドのMRは)主に同じ医師を訪問することになる。そして学会に参加する医師も一緒であるということ」と解説。さらに、「気管支拡張症の患者さんは非結核性抗酸菌(NTM)症の感染を受けやすい」と述べ、「この二つの間のシナジーと患者さんのシナジーというのが非常に大きなものがある」として、インスメッドがこの疾患領域で果たす役割の重要性に言及した。なお、日本における肺MAC症の治療対象患者は1万5000人から1万8000人。気管支拡張症は10万人を超える規模となる。
◎日本法人の体制整備「採用の多くの部分を占めるのが営業部隊ということになる」
その上で、日本法人の体制整備について、「現在約100人の従業員を倍増する。採用の多くの部分を占めるのが営業部隊ということになる」と明かした。ただ、メディカルやサポートスタッフの採用も同時に進めるとし、「2番目の製品ブレンソカチブのローンチの成功をサポートするような人材も含まれる」とした。
採用についてワイズCCOは、「非常に才能のある人材、プロフェッショナルであって、そして製品のローンチ経験があり、そしてまた患者中心という仕事を考えている情熱を持った人を採用したい」と強調した。また、インスメッドの社風に絡めながら、「私たちのコアバリューと同じような価値観を持った人たちを採用したい。コラボレーション、リスペクト、インテグリティを共有できる方を採用したいと思っている。加えて、患者さんを助けること。そしてお互いに助け合うこと、そして仕事に自分のベストなものを持ってくるということも含んでいる」とした。また、こうした考えの背景には、“ペイシェント・ジャーニー”に基づく患者中心の医療の実現があると強調。「患者さんについて学び、患者さんのジャーニーの各々の部分をしっかり理解し、その中で私達が患者さんや医療者に対して一番意味のあるメリットもたらすことができるかを考えることが求められる」と述べ、実践していく姿勢を鮮明にした。