住友ファーマ フロンティア事業を分割、完全子会社FrontActに承継へ 機動的な経営判断と運営を期待
公開日時 2024/05/10 04:50
住友ファーマは5月9日、医薬品以外の新たなヘルスケアソリューションの研究開発と事業化を進めているフロンティア事業を分割し、4月に設立した完全子会社・FrontActに承継させること(以下、吸収分割)を決議したと発表した。この吸収分割は6月18日に行う予定。住友ファーマは、フロンティア事業を住友ファーマの中で展開するよりも、FrontActに承継した方が機動的な経営判断や事業運営ができると判断。より一層さまざまなビジネスパートナーやアカデミアとの協業、提携などによるネットワークの拡充を図る。
住友ファーマは今回の発表の中で、「(FrontActは)新たな体制の下で、自己資本だけでなく、他社資本も取り込む可能性も追求し、これまで以上にスピード感・収益性を重視し、当該事業分野における確固たる地位を築くことを目指す」としている。
この“他社資本も取り込む可能性も追求”が、住友ファーマからの将来の連結除外を念頭においたものかも気になるところ。この点について住友ファーマ広報部は本誌取材に、「切り離しということではない。完全子会社のため当社が一番のビジネスパートナー」だとした上で、「今後、機械メーカーなど様々な第三者との提携や、出資や融資など様々な資金を活用できる可能性がある。小回りが利く形になるということ」だと説明した。
◎FrontAct メルティンMMI社のメディカル事業も譲受へ 予定社員数は27人
住友ファーマはこの日、ベンチャー企業のメルティンMMI社との間で、メルティンMMIのメディカル事業をFrontActに事業譲渡する契約を4月に締結していたことも明らかにした。FrontActにおける事業譲受予定日は6月17日。
住友ファーマは22年9月から、フロンティア事業の一環としてメルティンMMIと共同開発した医療機器「MELTz手指運動リハビリテーションシステム」(以下、MELTz)を販売している。FrontActが今回譲受するメディカル事業は、MELTzの製造販売事業及びMELTz関連事業の開発となる。
FrontActは、▽フロンティア事業の承継、▽メルティンMMIのメディカル事業の譲受――により、MELTzの製造・販売機能を統合し、後継品の研究・開発・販売を一体化することでシナジー効果の最大化を図るとしている。FrontActの代表取締役社長は、現フロンティア事業推進室長の野村武彦氏が就任する。6月18日時点の予定社員数は27人で、メルティンMMIからの移籍が9人、住友ファーマからの出向が18人となる予定。
MELTzは「生体信号処理技術+生体模倣ロボット技術」を適用した医療機器。脳卒中などによる手指麻痺のリハビリテーションにおいて、上肢の筋力を維持・回復させることを使用目的としている。