厚労省 7製品の効能追加など承認 レキサルティに「うつ病・うつ状態」が追加
公開日時 2023/12/25 04:49
厚生労働省は12月22日、7製品の効能追加などを承認した。大塚製薬のレキサルティに既存治療で十分な効果が認められないうつ病・うつ状態の効能が追加されたほか、ユーシービージャパンのビンゼレックスでは既存治療で効果不十分な乾癬性関節炎(PsA)、強直性脊椎炎(AS)、X線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎(nr-axSpA)――の3つの効能追加が認められた。
効能追加などが承認された製品は次の通り(カッコ内は一般名、製造販売元。薬効分類順に記載)
▽レキサルティ錠1mg、同錠2mg、同OD錠0.5mg、同OD錠1mg、同OD錠2mg(ブレクスピプラゾール、大塚製薬):「うつ病・うつ状態(既存治療で十分な効果が認められない場合に限る)」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。薬効分類117。
非定型抗精神病薬。今回追加する新効能の用法・用量は、「通常、成人にはブレクスピプラゾールとして1日1回1mgを経口投与する。なお、忍容性に問題がなく、十分な効果が認められない場合に限り、1日量2mgに増量することができる」で、既承認の統合失調症の用法・用量とは異なる。
大うつ病性障害(MDD)に対する中心的治療は抗うつ薬による薬物療法で、SSRI、SNRI、ミルタザピンを第一選択薬とすることが一般的となっている。
▽ジェノトロピンTC注用5.3mg、同TC注用12mg、同ゴークイック注用5.3mg、同ゴークイック注用12mg(ソマトロピン(遺伝子組換え)、ファイザー)」:「プラダー・ウィリ症候群における体組成異常」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。希少疾病用医薬品。薬効分類241。
プラダー・ウィリ症候群は、肥満、糖尿病、低身長、性腺機能不全などの内分泌学的異常と、発達遅滞、筋緊張低下、特異な性格障害・行動異常などの神経学的異常を呈する症候群であり、15番染色体長腕q11-q13に位置する父由来で発現する遺伝子の働きが失われたことで発症すると考えられている。
▽レボレード錠12.5mg、同錠25mg(エルトロンボパグ オラミン、ノバルティス ファーマ):「再生不良性貧血」を効能・効果とし、小児用量を追加する新用量医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は6年1日。
トロンボポエチン受容体作動薬。再生不良性貧血に対し同剤は、食事の前後2時間を避けて空腹時に1日1回の経口投与で用いるが、今回追加する6歳以上12歳未満の小児には37.5mgを、12歳以上の小児には既承認の成人と同じく75mgを投与する。
▽プログラフカプセル0.5mg、同カプセル1mg、同カプセル5mg、同顆粒0.2mg、同顆粒1mg
▽グラセプターカプセル0.5mg、同カプセル1mg、同カプセル 5mg
(タクロリムス水和物、アステラス製薬):「腎移植における拒絶反応の抑制」を効能・効果とする新用量医薬品。希少疾病用医薬品。薬効分類399。
両剤ともこれまで、腎移植における拒絶反応の抑制のため、「移植2日前より」投与できたが、今回、「移植2日前より」を削除して「初期には」に改め、移植前の投与期間に関する規定がなくなった。
▽ビンゼレックス皮下注160mgシリンジ、同皮下注160mgオートインジェクター(ビメキズマブ(遺伝子組換え)、ユーシービージャパン):「既存治療で効果不十分な乾癬性関節炎、強直性脊椎炎及びX線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。薬効分類399。
炎症性サイトカインのIL-17AとIL-17Fを選択的に阻害するヒト化モノクローナルIgG1抗体。今回追加する適応の用法・用量は、いずれも「1回160mgを4週間隔で皮下注射」となる。
乾癬性関節炎(PsA)は重度の慢性かつ全身性の炎症疾患。症状は関節の痛みや腫れのほか、皮疹、手や足の指が腫れる指趾炎、腱や靭帯が骨に付着する部分に生じる腱付着部炎などがある。
強直性脊椎炎(AS)とX線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎(nr-axSpA)は、体軸性脊椎関節炎(axSpA)に分類される。ASはX線基準を満たす体軸性脊椎関節炎(r-axSpA)とも呼ばれる。どちらも慢性の自己免疫による炎症性疾患で、仙腸関節の構造的障害を示す確定的なX線所見が認められるとAS、認められない場合はnr-axSpA となる。axSpAは、主に脊椎や骨盤、仙腸関節の靭帯付着部に炎症が生じ、痛みを伴う。
▽リツキサン点滴静注100mg、同点滴静注500mg(リツキシマブ(遺伝子組換え)、全薬工業):「▽下記の臓器移植における抗体関連型拒絶反応の抑制:腎移植、肝移植、心移植、肺移植、膵移植、小腸移植――。▽下記の臓器移植における抗体関連型拒絶反応の治療:腎移植、肝移植、心移植、肺移植、膵移植、小腸移植」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。希少疾病用医薬品。薬効分類429。
抗CD20モノクローナル抗体。臓器移植後の拒絶反応は移植臓器の機能不全や廃絶の主な原因であり、患者の生命にも影響する。拒絶反応のうち抗体関連型拒絶反応(ABMR)は、患者が有する抗体と移植臓器の抗原による抗原抗体反応を介した補体活性化による内皮細胞の障害により、血栓形成、出血、梗塞、壊死等を引き起こし、移植臓器が傷害される反応であり、ABMRがコントロールできない場合には、移植した臓器の廃絶に至る。
本剤は、抗体産生細胞に分化するヒトB細胞に結合して傷害することから、臓器移植におけるABMRの原因となる抗体産生を直接的に抑制すると考えられている。
▽ミオMIBG-I123注射液(3-ヨードベンジルグアニジン(123I)、PDRファーマ):「パーキンソン病及びレビー小体型認知症の診断における心シンチグラフィ」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。公知申請。薬効分類430。
有効成分である3-ヨードベンジルグアニジン(123I)から放出される放射線を、ガンマカメラを用いて画像化することで各種疾患の診断を行う。3-ヨードベンジルグアニジン(123I)はノルアドレナリンの類似物質であり、静注後に心臓の交感神経終末に取り込まれることで、心臓の交感神経機能を可視化する。
パーキンソン病及びレビー小体型認知症では、病早期より始まる心臓交感神経の変性、脱落が確認されていることから、本剤を用いた心シンチグラフィにより、それらの診断が可能となる。