Before and Afterと言われたら、真っ先に思い浮かべるのは術前・術後？それともダイエットの前後？米国でいまもっともホットなBefore and afterは「大型合併」前後の医療保険業界の話題だ。

すでに本コラムでも報じたとおり、米国では大型保険会社同士の合併が相次ぎ、その都度、業界の勢力地図が塗り変わっている。７月に AetnaがHumanaを＄37Bで買収すると発表し、直後にAnthem がCignaを$54Bで買収すると発表したからだ。 目下公正取引委員会が独禁法に抵触しないか審査中であるが、これらの合併が成立すれば、今後は、上述の2社にUnitedHealth社を加えたビッグ・スリーで米国医療保険市場のおよそ半分を占めることになる。

合併に動いている医療保険大手は、いずれも「合併でスケールメリットが得られ、コスト削減が可能になれば、保険料は安くなり、給付内容も改善される」と主張し、消費者にとっても、保険会社と提携する医師や病院にとってもメリットが大きいと主張している。

だが、寡占による質の低下と保険料の値上がりを懸念する声は高い。たとえば、合併儀には全米医療保険市場の21%を占めて市場占有率トップに立つAnthem + Cignaは、実際には、ヴァージニア州リッチモンド地区では、すでに両社あわせて 75％超の市場占有率なのである。このようなエリアでは合併で消費者の選択の幅が狭くなることは確実だろう。競争がないところにはイノベーションはおきないと言うのも定説だ。

出来高払いからマネージドケア型医療保険へと民間市場先導で医療保険 改革を実現してきた米国。オバマケアで保険業界はどう変わる？