国がんと富士フイルムがリポソーム活用した免疫療法で共同研究開始
公開日時 2019/04/01 03:50
国立がん研究センターと富士フイルムは3月26日、リポソーム製剤を活用した共同研究を開始したと発表した。リポソームは、ドラッグ・デリバリー・システム(DDS)技術の一つで、富士フイルムが高度な技術・ノウハウを有する。国立がん研究センターの最先端の免疫細胞解析技術などを組み合わせて、リポソーム製剤が免疫細胞に及ぼす作用を明らかにしたい考え。最終的には免疫応答を抑制する細胞を標的とした新たながん免疫療法の開発を目指す。
リポソーム製剤は、細胞膜や生体膜の構成成分である有機物のリン脂質をカプセル状にした微粒子。がん組織の未成熟な血管壁の隙間を透過し、薬剤をがん組織に集積させることで、副作用を抑制して薬効を高めることができると期待されている。
共同研究で活用するのは、抗がん剤・ゲムシタビンを内包するリポソーム製剤(FF-10832)、トポテカンを内包するリポソーム製剤(FF-10850)の2化合物。マウス実験では、単剤投与で、腫瘍が縮小することや、免疫チェックポイント阻害剤との併用療法で生存期間を延長することが報告されている。