JACDSの3社 電子タグ活用で店内業務・物流の効率化 2月に実証実験
公開日時 2019/02/04 03:50
日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)は2月1日、ウエルシアホールディングス(HD)、ツルハHD、ココカラファインの会員3社の東京都内のドラッグストアが、一般用医薬品など商品に電子タグのRFIDを貼付し、店舗内の業務や物流の効率化を検証する実証実験を2月中旬から行うと発表した。RFIDの推進・普及を目指す経済産業省のプロジェクトにJSCDSが参加し、行うもの。人手がかかる在庫管理、棚卸などをデジタル技術で効率化し、深刻化する人手不足を乗り越えると同時にサービス向上を狙う。今回の実験は店舗内だが、将来的には、RFIDを通じて得られたデータは、効率化の余地が多い製造、流通・配送、販売までのサプライチェーン全体の最適化に活かすことが技術的に可能であり、今回の実験はその一歩として期待される。
RFIDは商品に貼付して用いる。棚に並ぶ商品に、リーダー機器をかざすだけで、瞬時に一括して商品情報を読み取れる機能を持つ。棚卸・検品、商品管理でも、劇的な時間短縮が可能になるとされる。商品管理も高い精度でできるため、適正な発注、欠品・ロス、返品の削減にも効果があるという。今回の実験は、2018年3月に行った経産省とJACDSの共同宣言「ドラッグストア スマート化宣言」によるもの。
実証実験にはJACDS会員のウエルシアHD、ツルハHD、ココカラファインの3社が参加を表明、都内3店舗で2月中旬から同月末までの予定で実施することになった。実験では、一つひとつの商品のバーコードを読み取り、数量や期限を確認する作業が、RFIDを活用することで、どう効率化、省力化できるかを検証する。また、RFIDが誰でも正確に読み取れるものかを確認する。
この動きは、コンビニエンスストア(コンビニ)で扱う全商品にRFIDの装着を目指す「コンビニ電子タグ1000億枚宣言」(17年4月、経産省とコンビニ大手5社との共同宣言)に続くもので、社会実験といえる。人口は減少過程にあり、人手不足は深刻化、賃金は上昇傾向、長時間営業は難しくなり、事業環境は厳しくなっている。デジタル技術を活用することで、業務効率化、販管費抑制、サービス向上を目指す。
またRFIDは、サプライチェーンの最適化が視野に入る。いつ、流通過程のどこに、どんな商品が、どの程度流通・在庫されているのかを把握できる。そして、その情報を基に、生産計画、配送計画に生かせる。流通過程の無駄を特定、効率化につなげられ、大日本印刷などの関係企業ではシステム開発が始まっている。