サンファーマ・中道社長 皮膚領域のスペシャリティファーマ目指す 新薬開発も
公開日時 2019/01/25 03:50
インドの後発医薬品企業サンファーマの日本法人社長である中道淳一氏は1月24日、ポーラファルマの買収手続きが完了したことを受けて東京都内で記者会見し、新たな事業戦略について「日本においては最初から皮膚科領域のスペシャリティファーマでいく」と述べ、新薬開発を行うほか、GEや長期収載品の開発、導入も含め皮膚科領域を最重点に取り組むことを明らかにした。日本で乾癬治療薬として承認申請準備中の抗IL-23抗体チルドラキズマブ(海外名:ILUMYA)をドライバーに、現在約130人のMR体制の増強を図りながら、成長を加速させ、将来的には皮膚科領域でトップ3を目指すと表明した。
サンファーマは、皮膚科を最重点領域とするグローバル戦略を展開しており、皮膚科に強いポーラファルマの買収もその一環。成長の見通しが厳しい日本市場でも皮膚科市場は成長すると見込み、投資に踏み切った。1月1日付で買収手続きが完了し、ポーラが持つ日本での研究開発、製造、営業の事業基盤を獲得したことで、サンファーマは新たな体制で日本事業を本格化させる。今後の成長の軸となるチルドラキズマブの承認申請予定時期、将来の人員体制や事業数値目標は明らかにしなかった。
2020年1月、ポーラファルマを統合「サンファーマ」一本に
現在の体制は、サンファーマ本社の傘下に日本法人とポーラファルマ(子会社の科薬含む)の2社が並び、約500人が在籍する。サンファーマは、ノバルティスファーマから承継した抗真菌薬ラミシールなど14製品が中心で、ポーラファルマは抗真菌薬ルリコン、ニキビ治療薬デュアックなどの新薬を取り扱い、両社の合計売上高は開示していないが200億円程度とみられる。
2020年1月には、サンファーマ日本法人はポーラファルマを統合し、サンファーマ1社体制にする。ノバルティスから承継した製品は田辺三菱製薬が流通・販売しているが、生活習慣病など幅広い領域にわたることから、今後も継続するとしている。
印本社のキルティ・カノールカール氏 「日本には長期的投資を行う」 眼科、がんが次の戦略領域
会見には、印本社の日本事業統括責任者で、エグゼクティブ・バイス・プレジデントのキルティ・カノールカール氏が出席し、約4800億円の全世界売上の6割強を印と米国の両市場で占める現状を示したうえで「次の大切なマーケットは日本。長期的な投資を行っていく」との姿勢を示した。成長見通しが厳しい日本市場でも乾癬など皮膚科領域は今後成長が期待できるとし、シェア獲得に自信を見せた。GEを含むグローバルポートフォリオを投入し、成長を加速させる考え。バイオシミラーの開発については「興味深いが、そこにフォーカスを当てる意図はない」とし、領域強化の選択肢の一つとの位置付けにとどめた。
グローバル戦略としては、眼科、がんを次の戦略領域に挙げた。米国では、ドライアイ治療薬Cequa、皮膚がん(基底細胞がん)治療薬Odomzoなどの新薬がある。中道社長は、これらについて日本国内の開発を検討していると説明した。
ポーラファルマ買収については、ポーラ・オルビスホールディングスが18年11月、傘下のポーラファルマの全株式を、印サンファーマグループに譲渡する契約締結を発表。ポーラ側は、18年度薬価制度抜本改革や競争環境の激化を背景に、「ポーラファルマを取り巻く経営環境は厳しい状況」とし、ポーラファルマの持続的成長のために医薬品事業をコア事業に据える企業に譲渡する判断をした。