武田薬品・ウェバー社長 きょうシャイアーとの買収完了 Topリーダー200人任命、今週キックオフ
公開日時 2019/01/08 03:52
武田薬品のクリストフ・ウェバー代表取締役社長CEOは1月7日、記者会見に臨み、きょう8日にアイルランド・シャイアー社の買収を完了し、新体制でのスタートを切ることを明らかにした。計画より早く規制当局から承認を取得し、買収提案公表から8か月で買収を完了する。シャイアー社との統合完了で、連結売上高は313億米ドル。発足する新体制でのエクゼクティブ・チームとトップ200のリーダーはすでに任命した。今週中にもキックオフを開催し、5月には統合後初の決算発表を行う。ウェバー社長は、統合で、バイオ医薬品開発型のリーディングカンパニーとしてさらに成長を加速させる決意を滲ませた。
◎血漿分画製剤に期待「真の意味での世界市場での展開を」
統合後の米国における売上比率は49%に上昇。従業員比率は米国が33%で、日本は12%にとどまる。ウェバー社長は、「真の意味でのグロ―バルカンパニーとなる。革新的新薬を世界中に届けることができるようにすることが重要だ」と語った。1株当たり利益(EPS)が財務ベースで21年度から増加するなど財務プロファイルが強固だと説明。日本だけでなく欧米でも薬価引下げの圧力が増すなかで、「財務的に力強いということはヘルスケアの難しい状況に立ち向かえるということだ」と強調した。
ポートフォリオも、①オンコロジー、②消化器系疾患、③ニューロサイエンス、④希少疾患、⑤血漿分画製剤-の5領域に集中する。なかでも、注力領域の一つである、血漿分画製剤の成長に期待を寄せ、「大きな市場における有数のグロバルプレーヤー3社のうち1社になる」と説明。「真の意味で血漿分画製剤ビジネスを世界市場で展開したい。我々にとって有望な領域と考えている」と述べた。
統合後の新会社で“ワンチームを作るマインドセット”の重要性も強調した。タケダイズムに代表されるバリュー(価値観:誠実、公正、正直、不屈)を共有し、行動や判断の基準とすることが「長期成功の基盤」との考えを示した。常に患者中心に考えることで、社会との信頼関係を築き、レピュテーションを向上させることが、事業の発展につながると説明した。ウェバー社長は、「大きな会社になるが、同じコンパスとマインドセットを持ち、行動をドライブする」必要性にも言及した。
◎国内ビジネス「強みを研ぎ澄ます」 全国フルカバーのプラットフォームで
国内事業について岩﨑真人取締役・ジャパンファーマビジネスユニットプレジデントは、薬価制度抜本改革を踏まえ、「必ずしも明るいものではない」としたうえで、「イノベーションの推進に政府はサポートしている。イノベーションを推進する我々の戦略と合致している」との見方を示した。今回の統合で日本の売上収益の比率は減ることになるが、「プレゼンスは非常に大切で(日本でのビジネスが)会社全体の柱であることは変わらない」とも述べた。
同社が柱の一つに据える希少疾患で疾患啓発の重要性が高まるとの見方も示し、「日本の医療機関をほとんどカバーするプラットフォームを有している」と同社の強みも強調。「強みを研ぎ澄ますという形になる。日本でのビジネスのトランスフォーメーションをさらに加速させる」と意気込んだ。