RS財団 未承認・適応外の情報提供「MSLが一手に担うべき」 厚労省・医薬品情報提供GL案に意見
公開日時 2018/08/20 03:50
医薬品医療機器レギュラトリーサイエンス財団(RS財団)はこのほど、未承認薬・適応外薬の情報提供は、メディカルアフェアーズ(MA)部門に属すメディカル・サイエンス・リエゾン(MSL)が「一手に担うべき」との意見を発表した。厚労省が7月に公表し、8月13日までパブリックコメントを求めていた「医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン」案の内容を踏まえたもの。ガイドライン案では、情報提供において製薬企業の経営陣の責務を求めており、ガバナンス強化が柱となっているほか、未承認薬・適応外薬の情報提供のあり方などについて明記している。
RS財団は、未承認薬・適応外薬の情報提供をMRが担っている現状について、「情報提供にかかわらないという、先進国で常識になっている点が全く反映されていない」と指摘。「国際的常識からいって同意することはできません」とした。そのうえで、ディオバン事件をきっかけに内資外資問わず、MAを「ノンプロモーション部門」であることなどから、未承認薬・適応外薬に関する情報提供を担うべきとした。ただ、「MA部門を有しない中堅以下の業者の事情を考えると、一定の猶予期間を設けることはやむを得ないかもしれない」としている。
なお、日本製薬工業協会は2017年5月にコード・オブ・プラクティスを改定。MSLにもMRと同様にプロモーションコードを遵守することを求めている。プロモーションについては、「医療関係者に医薬情報を提供・収集・伝達し、それらに基づき医療用医薬品の適正な使用と普及を図ること」と明記。いわゆる「販売促進」ではないとしている。
このほか、小児や妊婦をはじめとする添付文書中の使用上の注意等に関する情報提供については、ガイドライン案に具体的な記載がないと指摘。「医療従事者を広く集めた会議体で、医療現場に不当な負荷をかけない情報提供のあり方を検討すべき」と意見した。そのうえで、「単に医薬関係者に努力を求めるだけでなく、行政自ら積極的に動くべき」と求めた。
◎MA機能のあるべき姿を提言 レギュラトリーサイエンス財団
RS財団は8月17日、メディカルアフェアーズ(MA)の今後のあるべき姿をまとめた提言も発表した。求められる能力について、「少なくとも博士号を基本的には有していることが前提」としたほか、企業には、製品売上額とは無関係に評価されるシステムの確立を求めるなどしている。
提言ではこのほか、▽有資格者の選定について、学術団体による資格や、著名な科学雑誌における論文の発表などの学術的成果に基づくこと、▽メディカル戦略の策定に重要な役割を果たす頭脳集団となる―ことを求めた。ますます重要性を増す医療経済評価や、「リアルワールドデータ(RWD)の創出に関わること」にも期待感を示している。
提言では、MA機能の現状についても言及している。「製薬企業等が扱う医薬品の研究開発(R&D)に深くかかわる医学・薬学に関する進歩は著しく、医薬品のR&Dは自社内で賄うことが次第に困難な状況になってきている」と指摘。そのうえで、「自社内のR&D部門を縮小し、開発業務をアウトソーシングするための機能を強化するようになっている」などとした。