日本新薬 デュシェンヌ型筋ジス治療薬「NS-065」フェーズ1/2、目標タンパク質の産生確認
公開日時 2018/07/30 03:50
日本新薬はこのほど、「先駆け審査指定制度」の指定を受け、デュシェンヌ型筋ジストロフィ治療薬(DMD)として開発している「NS-065」の日米で行ったフェーズ1/2で、患者では欠損しているジストロフィンタンパク質が骨格筋内に産生していることが確認されたと発表した。
同剤は、原因となっている変異した遺伝子による情報を読み飛ばすこと(エクソン53スキップ)で、ほぼ正常に機能するタンパク質を発現させ、結果として筋機能の改善につながることが期待される。このようなエクソンスキップ薬が対象となる遺伝子変異を持つDMD患者は全体の8%という。
日本での試験では、5~12歳の男児16人を対象に異なる用量で12 週時点、24週時点で評価したところ、14人で薬剤の作用による筋肉内のジストロフィンタンパク質の増加が認められたとしている。米国とカナダでの試験では4~10歳の男児16人を対象に24週時点で評価し、全員で認められたという。
この結果は、治験調整医師で、国立精神・神経医療研究センターのトランスレーショナル・メディカルセンター長の小牧宏文博士と、臨床試験ネットワークのCINRGのメディカルディレクターのポーラ・クレメンス博士がそれぞれ、米国で行われた「2018 New Directions in Biology and Disease of Skeletal Muscle Conference」で発表したもの。
DMDでは、筋肉の細胞に関与するジストロフィンタンパク質が、遺伝子異常でつくられなくなることで筋肉の萎縮や筋力低下を招く。一般的には、10歳代前半までに自立歩行不能、20~30歳代で呼吸不全あるいは心不全で亡くなるとされる。