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武田薬品経営陣が東京本社で会見 シャイアー買収「リスクを恐れ何もしないことが最大のリスク」

公開日時 2018/05/10 03:53

アイルランド・シャイアー社の買収合意から一夜明けた5月9日、武田薬品のクリストフ・ウェバー代表取締役社長CEOら経営陣は東京本社で記者会見に臨んだ。会見で注目したのは、東恵美子社外取締役の発言だ。同氏は、「日本企業にとってグローバル化とは何か」と前置きした上で、「グローバル市場での競争はもはや選択肢ではなく、長期的に成功し続けるための必要条件となっている」と強調した。その上で、「企業はリスクを恐れて何もしないことで、実は最大のリスクに冒されている」と述べ、今回のシャイアー買収劇が従業員や株主にとって正しい選択であると位置づけ、(取締役会として)本案件を支持した」と説明した。

東恵美子氏は2016年6月に同社の社外取締役に就任した。同氏は米・英国籍の上場企業4社の社外取締役の経験があり、現在も米国の上場企業2社の社外取締役を務めている。武田薬品の取締役会は過半数を社外取締役が占めることから、今回のシャイアー買収の意思決定に東氏も大きくかかわってきた。その立場で、この日の記者会見でスピーチに臨んだ。

◎買収の機会「戦略的好機と捉えないことは株主の利益を最大限活かしていないこと」


東社外取締役は、「会社が下す判断の中で、買収ほど大きなリスクとチャンス・機会が共存するものはない」と強調。今回のディールについて「リスクが全くない買収はあり得ない」との認識で武田薬品の取締役会が臨んだことを明かした。その上で、「買収の機会が生じた際に、これを戦略的な好機と捉えないことは、実際には、株主の利益を最大限生かしていない、ということにつながることも(取締役会として)理解している」との見解も披露した。

さらに日本企業のこれまでの文化に触れ、「何もしなければリスクにさらされないという考えは、多くの日本企業にある神話に過ぎない」と断じた。加えて、「多くの日本企業はまずリスクを評価する広いグローバルな視野を持つ機会がこれまで少なかった」とし、「リスク評価ができたとしても、そのリスクを恐れるのみで、リスクを最小限に抑える方法を見つけ出すマネジメント能力が不足していたことがあげられる」との見解を示した。

◎「従業員、株主にとって正しい選択」

一方、今回のシャイアー買収について東社外取締役は、「長期にわたる競争力と成功を維持し続けるクリティカルマス、規模の経済をもたらす」と指摘。加えて戦略的な適合性や財務強化が可能などの経営的な意味を考えれば、「今回の買収はさらなるアンメットニーズへの貢献、従業員、株主にとって正しい選択であると結論づけられる」と述べ、取締役会としてこのディールを支持するに至った経緯を説明した。


◎“タケダイズム”「グローバルでレピュテーション高める」 ウェバー社長


記者会見に臨んだクリストフ・ウェバー代表取締役社長CEOは、シャイアー買収後も、これまで培ってきた“タケダイズム”の「誠実・公平・正直・不屈」という価値観は日本に止まらずグローバルにも通じると強調。グローバル企業としての“タケダイズム”について、「安全で有効な医薬品を届け、会社のレピュテーション(評判、評価)を高めていくことが長期の成功に極めて重要だ。ビジネスは、その後に付いてくる。これは、世界各国で我々がビジネスを行う上で有効な魂であり、今回のシャイアー買収でも実現されるはずだ」と述べた。
 

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