日医・今村副会長 新薬創出加算見直し論議、「抜本改革か」疑問 さらなる議論必要
公開日時 2017/11/10 03:50
日本医師会副会長で、中医協委員を務める今村聡氏は11月9日、日本医薬品卸売業連合会主催のセミナーで薬価制度改革について講演し、中医協で行われている新薬創出加算の見直し論議に対し「抜本改革と国は言うが、(今の議論の内容が)抜本改革になるのかどうか」と疑問を呈し、中医協でさらに議論を求めていく姿勢を示した。
今村氏は、中医協の検討内容に対し「(新薬創出加算の)対象企業や対象品目という議論になっている」と指摘。「薬価制度の抜本改革に向けた基本方針」で「ゼロベースで抜本的に見直す」とされていることを挙げ、試行継続の要否を含め「対象企業や対象品目に限って見直しをするということではないのではないか。今後の中医協で二度目、三度目の議論がされると思っている」と述べた。
新薬創出加算の現行ルールの企業要件の一つに「真に医療の質の向上に貢献する医薬品の研究開発の実施」に対し、同氏は、他産業ではイノベーティブな製品を上市から利益を得るの対し、このルールでは「これから(イノベーティブな製品を)作りますと、それを評価して(公的医療保険の)資金を出されている。そんな産業が他にあるのだろうか。個人的にはここに違和感がある」と話した。政府の「イノベーションの推進」に対し、「反対はしていないが、イノベーションの評価は薬価以外で対応すべきである」として、成長戦略の一環として税制や補助金の活用が適切との日医の主張を改めて述べた。
薬価の毎年改定にも触れ、「日本医師会は反対している」と改めて表明し、薬価調査が医療機関、製薬業界等の大きな負担が強いられ、結果的に納入価の高止まりにつながる可能性を理由に挙げた。「毎年改定されるものは極めて限定的に選ばれるべき」と、日医の立場を説明した。