田辺三菱・石﨑営業本部長 長期収載品の譲渡は「考えていない」
公開日時 2017/08/30 03:51
田辺三菱製薬の石﨑芳昭営業本部長は8月29日、東京都内で開いた記者懇談会で、長期収載品の扱いについて、「長期収載品を切り出して他社に、ということは考えていない」と強調した。同社は2020年度までに国内製品売上に占める長期収載品その他の比率を25%まで縮小させる方針を示しているが、「品物を切り出して25%ということではない」と述べ、現時点では戦略的に長期収載品の譲渡を行う考えはないことを表明した。アステラス製薬や塩野義製薬など製薬各社で、長期収載品の他社への譲渡が相次いでいる。
同社は、20年度を最終年度とする5か年の現中期経営計画で、国内製品売上に占める新薬及び重点品の比率を15年度の55%を20年度に75%まで引き上げるとしている。長期収載品その他の国内売上に占める比率は15年度の45%が20年度に25%まで縮小することになる。三津家正之社長はこの日の懇談会で、「長期収載品の減収影響を受けない体制にする」と述べ、新薬・重点品の売上最大化や、真に有用性のある後期開発品を10品目創製(導入品含む)するとの考えを改めて示した。
■17年度 シンポニー、ステラーラで炎症性腸疾患の攻勢強め、シェア拡大図る
国内製品売上構成比率で新薬は16年度には前年度より8ポイント増の62%まで高めたが、17年度には同社は70%まで引き上げる方針。その中で国内業績を支える自己免疫疾患領域は17年度、炎症性腸疾患に対する攻勢を強める。同領域では16年度、レミケードとシンポニーで売上高1138億円(薬価ベース)を記録、2剤で同領域のシェアは39%とトップを堅持した。17年度は、シンポニーは潰瘍性大腸炎、そしてステラーラのクローン病に対し、製造販売元であるヤンセンファーマとのコ・プロによるシェア拡大を図り、さらなる増収を目指す。
また、糖尿病・腎領域も、DPP-4阻害薬、SGLT2阻害薬の浸透が進んできたとして、大規模スタディ結果や国内で初めて両成分を配合したカナリアで、販売拡大を加速させる方針。16年度は、DPP-4阻害薬テネリアとSGLT2阻害薬カナグルは、第一三共との連携強化で両剤の売上高は335億円(薬価ベース)。それにカナグルが脳・心血管イベントの発症リスクを低下させたとする大規模スタディ「CANVAS」の結果をさらなる売上伸長につなげるとともに、近く発売するカナリアによって新たな治療提案を実施し、市場開拓を進めるとしている。