Health2.0 日本上陸!
公開日時 2015/10/27 03:50
シリコンバレー発のグローバル会議Health2.0が日本に上陸、Health2.0Asia-Japanと銘打って11月4日・5日に東京、虎ノ門ヒルズで開催される。主催はメドピア株式会社。米国本部から独占的ライセンスを取得しての開催だ。(医療ジャーナリスト 西村由美子)
最新技術とその先進事例を幅広く紹介するHealth2.0は、単に国際会議であるにとどまらず、スタートアップと投資家、医師・医療機関・保険者さらには行政と患者・消費者を結ぶアクティブなイノベーション・ハブだ。来年10周年を迎える米国はじめ、欧州、ラテンアメリカ、インドで毎年大会を開催しているほか、ユニークなテーマでのリージョナル会議、コーダソンやコンペを世界各地で展開してきている。
初めての東京大会は「 Technology Redesigning Health Care(テクノロジーが、ヘルスケアをリデザインする)」を全体テーマに掲げ、日本の医療・介護・ヘルスケアの課題を横断的に議論しつつ、 最先端ソリューション を日本及び海外の多様なユース・ケースとともに紹介する。以下、見どころをダイジェストする。
会議 はGovernment2.0からスタート 。医療の技術革新は規制の議論を避けて通れないとの認識からだ。急激な技術革新下の医療政策・医療行政の課題を、規制緩和、ICT化推進、ビッグデータをキーワードに 日本、英国、米国の行政担当官が語る。モデレータは医療経済学者にして各国の医療行政に精通する 西村周三である。
政策分析といえばビッグデータ解析だ。IBMワトソンの事例を交え、アカデミアとビジネスの両方向からの議論 をリードするのは実証的な政策分析で知られる川渕孝一である(”Health2.0 and Big Data”)。
また治験データの解析で世界をリードする米国メディデータ社日本代表がキーノート・ソピーカーとして登壇し、テキスト解析で知られる UBIC武田CTO と慶応医学部の岸本講師が日本の医療現場の具体的な課題解決への応用をフランクに議論するなど(Deep Dive : Big Data Analytics)、厚みのある企画になっている。
メインテーマの1つは世界的トレンド「医療 研究や治療方針の決定への患者の参画」。Patient2.0では、キーノートに患者のソーシャル・ネットワークの先駆けである米国の“PatientsLikeMe”が登壇し、さまざまな事例を交えた活動を披露する。また、メディア・パーソナリティの八木亜希子がモデレートするパネル・ディスカッションには、医師、患者、ビジネスの代表が登壇。経験を共有し、今後の課題を語り合う。
高齢化社会に対応する日本型ソリューション は グローバル・モデルたりうるか?「スマート・プラチナ社会」構想の実現可能性をさまざまな事例と関連技術の紹介で検討する。 議論をリードするのは日経新聞の関口和一である。
Health2.0は先端技術のショーケースでもある。Health2.0共同創業者2人が世界の最新事情を語り、我こそは!のスタートアップがシリコンバレー往復航空券をめざして 壇上でピッチするコンペもあり、クラウド、モバイル、ICカードなどキーとなる技術を 独自に網羅したソニーが、医療アプリケーション戦略を語るDeep Diveもある。
Health2.0共同創業者マシュー・ホルトがリードするパネル: ”Do-it-Yourself”ヘルスケアは日本発の世界企業オムロンの将来戦略と、アジアのコンシューマー向け医療機器の最新トレンド、台湾と日本のスタートアップのデモで構成される。
◎先端技術は医療や介護をどう進化させるか?
バーチャル・リアリティ、人工知能、感情分析など最先端技術を紹介しつつ未来を予見するThe Future is Nowを 介護分野のビジネス創出をリードする岡本茂雄がモデレートし、Robotics2.0では、介護ロボットの今そして未来を、ロボット研究の第一人者比留川博久が事例を交えて語る 。
医療の技術革新 にも医師の参画が必須である。会議は医師とヘルステックをめぐる議論で締めくくられる。キーノートにはニューヨークのマウント・サイナイ病院の近本洋介が 登壇し、米国の先進事例を紹介しつつ、急激な技術進化に対応する医師—患者コミュニケーションの課題について語り、パネルディスカッションDoctor2.0ではスタンフォード大学の池野文昭が、日本生え抜きの「医師にして起業家」たちの体験に基づく率直な意見 を引き出しつつ、今後の課題を明らかにする。