富士通など3社 医薬品物流プラットフォーム構築で実証実験 製造拠点から調剤薬局・病院まで一元管理
公開日時 2025/10/28 04:51
ロジスティクスナイト・ジャパン(LKJ)、いすゞ自動車、富士通の3社は10月27日、製造拠点から最終納品先(調剤薬局・病院など)までの物流網全体における高度なデータ連携により医療用医薬品を一元管理する「医薬品物流プラットフォーム」の構築に向け、実証実験を開始すると発表した。実証実験は11月上旬から来年3月まで行う。3社は、データ連携の高度化を通じて物流網全体での品質の担保や在庫廃棄の削減、在庫偏在の解消を実現し、「物流の高度化と医薬品の安定供給に貢献する」としている。
実証実験は、これら3社に、いすゞと富士通の合弁会社トランストロン、富士通子会社のRidgelinezを加えた5社共同で国土交通省の公募事業「物流イノベーション実装支援事業」に応募し、採択されたもの。
◎在庫管理、輸送・保管温度の可視化、共同輸送、パレット輸送の効果など検証
実証実験では、▽GDPガイドラインに準拠した物流網全体における医薬品の理論在庫値及び輸送・保管温度の可視化、▽物流効率化に向けた共同輸送、▽作業効率化に向けたパレット輸送の導入効果検証――の3テーマに取り組む。共同輸送は、国内製造された医薬品を北海道内の調剤薬局や病院まで運ぶルートにおいてシミュレーションを行う。
今回実証する医薬品物流プラットフォームは、メーカー工場から調剤薬局・病院までの物流網にある医療用医薬品を一気通貫で“見える化”することが特徴のひとつとなる。入出荷情報や在庫情報、輸送時を含む温度情報、トラックの位置情報などの各種データをデジタル技術を用いて共有・一元管理して実現する。共同輸送にも対応できるようにする。
◎「特に有事の際に業界全体での在庫偏在の解消に役立つプラットフォームを目指している」
3社は、国内の医薬品の流通上の課題について、「物流網全体では十分な量があるにもかかわらず、供給不安や在庫偏在により、医療機関や薬局などにおいて局所的な医薬品の不足や廃棄などの問題が顕在化している」とし、「製薬メーカー・卸売販売業者・物流事業者の間での輸送や保管におけるトレーサビリティの確保が課題になっている」と指摘している。富士通広報IR室は同プラットフォームの利用シーンについて、「特に有事の際に、業界全体での在庫偏在の解消に役立つプラットフォームを目指している」と話している。
なお、今回の実証実験で医薬品物流における専門知見を提供するLKJの早田雅彦社長は、旧山之内製薬(現アステラス製薬)に1985年に入社し、35年以上にわたり同社で営業や物流の業務に従事した。22年6月にLKJを設立した。